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日志


2007/2/7

Nobody says・・・Attack to Iran.

 イランを中東地域(特にイラク復興関連、パレスチナ関連etc)での”悪者”にしたさそうな話が見受けられますので、実際に米国がイランを攻撃可能なのか否かを考えてみます。
(まぁ~、大方のブログで行われている中東関連の話は右も左も中東地域のことを余りご存じないか思い込み:中東と言えば反米的な:から、中東地域よりは格段に情報量が多い米国の話に転換されているのではないか?っとは思いますが・・・)
 
 イラク侵攻と同様に「地上軍」をイランへ侵攻させることが可能か?を先ず考えてみますが(なぜ地上軍?は後述します)現在の米陸軍現役10個師団の内6個師団をRMAから新型重師団へ改編する作業が進められおり定員をこれ迄の18,069人から15,719人に減らすことになっています。
 
 問題は、少なくなった定員でカバーする作戦面積が従来型師団よりも”約40%”拡大した”約2,400平方キロ”となる訳ですが、この数字から単純にイラン全土又はテヘラン制圧(イランの場合は殲滅が正解ですが・・・イランをイラクのように占領統治する理由が無いので)に必要な兵力は約100万人を超え
それでも兵員1人当たりの作戦面積は約1.52平方キロと広大なモノとなる・・・・まぁ、早い話が、広大な国土を持つイランを完全に制圧出来るだけの兵力を持っていない、と言うことです。
 
 米軍の物理的な面からも地上軍の侵攻による制圧は不可能なのですが、それ以上に現在のイラン政権は旧イラクと違って政権自体が国民の相違を(ある程度ですが)反映して成立しているが故に旧フセイン体制の息詰まりを打開するには
もはや外部からの介入以外に手段が無い(かも知れない)とイラク国民が感じていたのとは大きく違ってイラン国民は誰も外部からの打開策が必要だ!とは全く感じても考えてもいない、っと言うことです。
 
 つまり”解放されるべき抑圧された側”が存在していない(イランへ米軍の介入を望む勢力も事情も成立していない)ことの証拠に改革派が主張しているのは、
イランの民主化(イスラム的な民主化ではあるでしょうが)は自らの手で行うので米国は大人しくして手を出さないでくれ!
といったモノですので(抑圧されているとも解放を望んでいるとも言ってはいない・・・)そこへ米軍が攻撃するとなると(保守派はその存在基盤を死守する必要性から)改革派自体は、その”介入”に対して「要らぬお節介(イラン人:ペルシャ人:自身には出来ないと
見下しているのか?etc)」等の反発から保守派、改革派の双方が一致して”徹底抗戦の姿勢”になる可能性が非常に高いと考えられるのです。
 
 すなわち(旧イラクと全く違う)”総力戦(Total war)”の様相を呈してしまう可能性が強くなってしまうでのす(ラムズフェルドが在任していたら、RMA型米軍の実力を広域高機動戦で試してみたい!ってな誘惑に駆られるかも知れませんが・・・)。
 
 もしも、米国がイランとの正面決戦を行うとするならば主権国家としてかなりの体裁を持った存在と本気で戦わなくてはならない、っということですが・・・。

Memo-01:
 
 現状では総力戦になったとしてもイラクでの”完全な”治安回復(復興)が達成されていませんから、レバノンのヒズボラがイランへ駆け参じるよりはイスラエルへの再攻撃を実施する方が効果ありと判断するでしょうし、イランの国体がイスラム教がその絶対基盤としてなっている事から、
米軍のイランへの攻撃は必然的に「イスラム教対非イスラム教の戦い」になってしまうので、いわゆるハッチットンが言うところの文明の衝突になってしまいます。
 
 かと言って、イスラム=アラブ諸国からするとイランは”ペルシャ人の国”であってそのイランへ義勇軍を送るような事態には(イラク侵攻に際してもそんなことはしなかった訳ですから)ならない。
(故に、このイランへの攻撃で米軍がイラク同様にモタツクような事態になればイランの地域覇権主義脅威は格段に増大してしまうことなるのですが)
 
 なぜなら、イラクでの混乱継続とイランの国力低下(実際、そうなればの話ですが)はエジプト、サウジにとっては願ってもない状況だからに他なりませんし、ムスリムが好む”陰謀論”からすると中東アラブ諸国の老獪な(狡猾なでも可)外交の勝利となるか、
・・・どちらにせよ、世界最大の超大国の米国がアラブの意思に”従った”みたいな話にはなってしまう訳で・・・・

 
 自国の安全保障の脆弱さを米国に依存している湾岸アラブ諸国が連合したとしてもイランとの戦火を交えることは無理で(それを旧フセインは実行したことで中東地域での威信を強めた訳ですが)目の上のたんこぶ的な存在であるイランを(消滅させらなくとも国力の低下、宗教方議会の
権威低下等だけでも)イラクの延長として米軍(米国)に”自分達の代役”として戦争を実施して貰うのは非民主体制の政権郡としては誠に”国益に適う”(体制維持が”国益”と言うならですが)ことなのです。
 
 一方、代理戦争を行う米軍側はまず間違いなく”単独で”イランとの戦闘を担わなくてはならなくなる(如何に英国でもちょっと加勢は出来ないでしょうし、他の欧州勢は端から無理でしょうから・・・)。
 
 旧イラクのように打倒すべき政権(政体)だけを浮き彫りにすることは出来ませんから、地上軍を(本当に)投入するとなれば、完全に周囲は”敵だらけ”の中に侵攻することになってしまいます(誰にも感謝も歓迎もされず、誰も侵攻した米軍を”新統治者”等とも認めない状況)。

Memo-02:
 
 通常爆薬の精密誘導型兵器(巡航ミサイル)と空軍力”だけ”でイランの体制が旧イラクと同様に崩壊する等とは全く考えられない訳です。
(ピンポイントな攻撃はその名が湿すとおりピンポイントの打撃であり、壊滅的な破壊を敵に与えられないのは、アフガンでもイラクでも実証済みです)
 
 第一、味方になり得る可能性を持った勢力が存在しない地域への攻撃なのですから精密誘導爆撃を実施する必然性がそもそもありません。
敵の殲滅という戦争本来の観点からすると、一発の被害が数百人程度であったり、物価格差から現地価格数千万円程度のショボイ橋梁等の破壊に一発一億円もする巡航ミサイルを数発打ち込む経費対効率の悪さetc.etc.・・・・
 
Note-01:
 
 今後の非対称戦ではそのような効率の悪い戦闘が増加するのは仕方がないことなのです・・・・(かなり嫌味な書き方を敢えてしますが)
 
Ex.
 最新鋭のステルス戦闘攻撃機から投下される最新鋭の精密誘導爆弾が吹き飛ばすターゲットの多くは、藁葺き屋根と枯れ木で出来たケチな村落に居る血に飢えた無学無教養で薬物でラリッタ半裸に弾帯を巻いてAKを辺り構わずぶっ放す数十人の馬鹿者達と
そんな奴等の脅しや残虐行為に黙って晒されるしかない、息をしていることが生きていることであるかのような(その生存が)社会に如何なる影響も与える可能性すら無い子沢山の無辜の民・・・

 
 通常爆薬(強化型であっても)を使用する限り、その精密誘導能力又はCEPは核兵器に比較して格段に高くなければなりませんし、攻撃対象別に多様な種類も必要となることから、作戦自体も非常に複雑になってしまいます。
(その経費の膨大さと複雑な作戦実施に掛かる膨大な時間と人間の数等からしても、精密誘導兵器程度の損害では総力戦を実施すると決意した相手には大した効果等望めない、ということですが)
 
 更に直近のイスラエル対ヒズボラの戦闘でも証明されたように、空爆では完全に敵方の弾道ミサイルや地対地ミサイル、巡航ミサイル等を除去出来ないですし、相手がイランとなれば旧イラクやヒズボラの比ではなくなります。
(Shahab-4等の弾道ミサイル、C802等の対艦巡航ミサイルが存在し実際に使用可能であることもヒズボラが証明しています)
 
 つまり、空爆後、地上軍を投入すると言うのであれば、その広域高機動力、進軍経路、兵站補給経路と方法等の多くの問題を解決した後でなければならず、ちょっとでもモタつくと中東全域(当然イスラエルも含まれる)から地中海辺り迄イランの弾道ミサイルが飛来する可能性があるとも言えます。
 
 RMAの重要な問題点でもあるのですが、情報収集能力が向上すればする程、”より正確な情報を求める”傾向が強くなる、それが即軍事的勝利に繋がらないことが実際に懸念されています。
 
 その理由として
  1. 情報”鮮度”(エントロピー)の問題
    1. REALTIMEは本当に”今”なのか?という問題。
    2. 発信された情報は発信者にとって不要になったから発信された・・・という事実。(偵察情報であっても基本は同じで、受信側にその問題が付回されるだけのことでしかない)
  2. ”決定/決断”もしくは”成し遂げよう”とする”意志”の問題(軍事技術の応用分野でもあるマーケティング領域で既に発生している問題)
    1. どれだけターゲットを特定する為の(正確な)マーケティング情報を収集しようが、攻撃側(売り手)にそのターゲットに選択した武器(商材)を買わせよう!っとする確固たる意志が存在しない限り有効な効果(売上げ/戦果)を上げることは不可能である。
Note-02:
 
Ex.
 5億の売上げを確保するには5億分の在庫が”事前”に保有されいなければならず、それだけの在庫を事前に確保する又は売り切る、といった信念、決断が必要になるが、その元々の5億という数字はターゲットを完全に撃破し自軍に勝利(利益)を齎すに十分だ!っとする判断は
誰が、どのように下したのか?・・・っという問題。
 
 特に上記(太字)2.がRMAが真の革命ではないとする根拠の一つにもなっています。
 
 つまり、戦争の本質でもある”敵を必ず殺す!!”という強固な意志が存在しなければ、どれだけ正確な情報を収集しようが、引き金を引く、発射スイッチを入れること迄コンピュータ化することが出来ないからに他ならないからです。
(これが逆に、強固な信念を持った自爆型テロリストを確実に阻止することが出来ないという根拠にもなっているのですが・・・・)
 
 考えられる限りの(僕のレベルでですが・・・)方向から考えても、通常兵力でイランを攻撃するのは全く間尺に合わないことは確かなのです。
それでも、米国の都合でどうしてもイランをぶん殴りたいのであれば(カカシさんのブログで在イラン大使館人質事件が米国のトラウマになっている為にイランと聞くと脊髄反射的に”悪”ってな感情を米国は持ってしまうのでしょうが)
戦略核兵器を使用する選択肢しか実は米国には残されていないのも確かなのです。
 
 世界の超大国として後進国なんぞからナメラッルなっ!米国の威厳を示せっ!米国の癇に障ることをするとガッチリ報復攻撃を喰らうんだぞっ!の比喩として”イランを攻撃せよ!”と言うのであれば、その最大の原因を作っているのは
米国政府と議会の一貫性の無さとそうした一貫性の無さを支持している米国国民自身なのではないでしょうか?
 
 テロとの戦い・・・等と言いながら(これは確実な脅威であることは認めますが)イラクやイラン(国民の)の事実とは全く無関係に(単に利用して)自国政府や議会の姿勢を糾弾しているだけにしかどうも思えない。(又は米国自身を非難する為だけに)
 
 力の無い正義は悪だ!っと迄は言いませんが、米国の正義という台詞に本当の正義がある等とは流石に誰も信じてはいない訳で・・・・(イスラム原理主義テロ組織も米国以上に”自分達にこそ、正義がある”っと強い信念を持っていますが、それをその通りだ!っと誰も認めてはいないのと同じでしょう)。
 
 
2007/1/24

RMA become a true revolution?:A judgment error of the President

 米国の中間選挙の結果を受けてブッシュ大統領は「自身のイラク政策に判断ミス」があったことを演説で言っていましたが、何が判断ミスであったのか?は具体的にしていなかったと思いますので、僕なりの考えを・・・
  1. (ラムズフェルドが信奉していた)Revolution in Military Affairs(RMA)を過信した。
  2. イスラム思想の誤謬
上記2点がその代用的な判断ミスであったことは間違いないのではないか?っと考えます。
 
 本稿では「1.」のRMAを通して米国の中東(イラク)政策の具体的な問題点にアプローチしてみます。
 
 先ず、いわゆるハイテクの著しい発展によって過去の軍人達が長い間思い悩んで来た「あの丘の向こう側」を知る術を獲得したかの様な状況は戦争行為の原則でもある非対称攻撃能力を(多分)確実なモノにしたでしょう(ひらけたBattle field:space:での正面決戦:総力戦?:的な単純さは縮減したかに見える)が
より正確な情報を得る為の方法やその情報に基づく戦闘行為、兵站の複雑さに加えて装備価格の異常な高騰を確実にしたのは確かです。

Memo-01:
 
 非対称戦(Asymmetric warfare)概念は別段最近のモノでは決してなく、敵対する両勢力がお互いに相手の弱点を衝く方法としては至極当然なモノだと言えます。
 
 ペンタゴンが定義する非対称型の攻撃方法も
「敵の通常作戦方法とは大きく異なる手法を用いて、敵の弱点を衝く事により、敵の強い力を回避したり弱めたりする方法」
としていますし、その具体的な手法として以下の三種類を上げています。
  1. 攻勢的なInformation Operationの実施。
  2. Weapons of Mass Distruction(WMD)の使用。
  3. 非通常型の作戦の実施(一撃離脱型戦術、市街戦、爆発強化型(通常)兵器の使用、経済混乱の誘発、大衆暴動の誘導、テロ攻撃)。
 
 本来”戦争”に於いては上記で上げた三種類の手法を複合的に使用して(2.は冷戦時代MAD概念から対象外とされていましたが現在は考慮する状況に無い)軍事力優位を獲得した後に正面決戦に持ち込む(それ以前に敵側が降伏した場合は別ですが)という流れな訳ですが
早い話、戦争に勝利する為にはUnrestricted Warfare(手段を問わない戦い:リンク先で紹介されている内容は中国の武官が対米国戦を想定して書かれたモノですが、内容的には新規なモノではありません)、
つまり、「手段に制限を設けない戦争」をすることに他ならないのです。
 
Memo-02:
 
 RMA化によって兵器の価格が非常に高くなった(Cruise missileの実戦デビューとなった湾岸戦争では1発約100万ドルのトマホークを第一撃で百発以上が発射されOperation desert storm発動後僅か半日余りで約1億8千万ドルを瞬時に使い果たした計算になる)っと言う事は、
冷戦終了後、自明な脅威(目的)の消失した中でも米国は世界で唯一の超大国として今後もその力と地位を維持し続けなくてはならない、っという戦略的目的に沿って米国が最強の軍事力を維持して行く方針からすると、レーガン政権時代のSDIの様に米国以外の諸国を
政治的、経済的な領域からRMA競争に巻き込む目論見が無い訳でもないでしょうが・・・肝心のRMA化のトップランナーである米国自身も全軍を一気に変革させるだけの国防予算を確保出来ない現実がある・・・まぁ、その位に”高価だ”という事ですが。。。

 
 但し、こうした考え方も最終的に正面決戦を想定しているならば、”前線”、”後方”等と言うモノが確定しているBattle spaceの存在を前提にしている感が無きにしも非ずですが(非対称戦の実施が正面決戦の前段階とするなら)例えそうした状況下に於いても
当初から軍事力優位を持った米軍が実施する非対称戦(攻撃)と軍事力劣勢の側が実施する非対称戦(攻撃)とではその内容や手順等のプライオリティが異なる事も明らかな訳です。
(内容は前近代的な概念しかなく忠誠心の欠片も実は持っていないような形ばかりの国軍が存在する”国家”との戦争であればともかく、テロリスト集団との紛争という事になれば、主力がそもそも存在しない為に非対称戦が中心になってしまうのも又自明な事になります)
 
 そうした意味からも旧フセイン国軍を撃破してその体制を崩壊させた時点で、旧態方の戦争は確かに終結していた(勝利宣言を早々と出した理由でしょう)訳ですが問題は地上軍をイラク領内に侵攻させた後に米軍が巻き込まれた市街戦が実はRMAの問題点を浮き彫りにしてしまった
と言っても過言ではないのと考えます。
 
 この市街戦(Military Operations on Urban Terrain(MOUT Urban warfare))も別段新しい概念ではないのですが(米国海兵隊等はWWII以降に300回近く海外展開した内の約90%が市街地を含む地域であり、海兵隊自身も世界主要都市の70%が海から300km以内にあり、
彼らの任務の性質上からしても市街戦を実施せねばならない可能性が高いと認識していますが・・・)これ迄は市街戦では攻撃側が圧倒的に不利になることが分かっていたのでいわゆる都市を包囲して攻囲戦状態に持ち込むことを優先していたのも事実です。
 
 その最大の理由は、侵攻した(攻撃)側がその都市(地域)に古くからの住人であるなら別ですが数千キロも離れた場所から初めて訪れた外国の都市で戦闘行為を行う事は、自分達がその都市の何処に居て、何処に向かおうとしているのか?という地図情報が把握出来ない上に
進撃した都市が先進国のように都市整備計画が万全で道路名や区画名がしっかり整備されて突然の変更(ある日忽然とバス通りが閉鎖消滅する等と言う事態)が起きない国や地域との戦争(紛争)等ではない・・・つまり、社会インフラが未整備な第三世界との戦争/紛争だから、ということです。

Memo-03.
 
 軍事衛星や無人偵察機等を使用して作成された精密な三次元地図やGPSが装備されていたとしても、当事者自身が頭の中に現在位置を三次元的にイメージ出来ないと視界が制約された都市部で現在位置と方角を認識するのは非常に難しい。
 
 特殊部隊のように常時、地上航法能力の向上を想定した訓練を実施しているのなら別ですが、いわゆる通常軍(正規軍?)の兵員全てが同種の訓練を実施して能力向上を図るのは訓練規模の面からもかなり難しい。

 
 更に市街戦を攻撃側を不利にする要素として(精密な地図やGPSがあったとしても)特徴的なランド・マーク周辺だけで戦闘が実施される訳もなく、肝心の精密な地図が作成された”後”でそのランド・マークが破壊された場合、地上航法能力が保障されない可能性すら出てきます。
 
 理想的なBattle spaceであるはずの無人の砂漠地帯でも実は位置確認の問題以上に作戦の展開地域の土壌性質の方が重要で:ストライカー型の部隊とその装備を空輸する固定翼機や大型ヘリが離着陸可能か?や持ち込んだ機動車両が十二分に動けるか?:
その為には結局人員の事前投入を実施するしか無いばかりか、例え事前に測定出来たとしても一回の砂嵐でその測定値が台無しになる等の不確定要素を如何にリアルタイムな電子情報方の収集方法であっても縮減することは出来ない、っと考えられます。
 
 又、市街戦では「前線」が明確に存在していないという特徴が問題になります(突然、出現して突然、消滅する)し頭上(建物の上etc)、足の下(地下etc)といった三次元的な状況把握能力を必要とするにも係らず作戦実行前の情報収集は保障されず(限られ)、抜け道、近道に至っては
皆無の状態にもなります。
 
 つまり、敵地で実施する市街戦とは旅行者が初めて訪れた場所でいきなり戦闘行動をするのに等しくなってしまうからに他なりません。
 
 元来の市街戦が防御側に有利である以上に、現代のアル・カイダ型のテロ攻撃は民衆の支持等を必要としない(既存の社会体制の崩壊が目的なので、いわゆるレジスタンスやゲリラ等とはその存在理由の根本から違う)のに加えて
イスラム教教義の解釈(部分責任、全体責任等)、武力による直接的恫喝、イスラム価値観の絶対優位性への信念等から国際法等の遵守自体を無視出来る為にテロリストと一般民衆(非戦闘員)の区別が不可能で(当人達は識別可能ですが・・・)ある事から
付随的被害を最小限に抑えた攻撃、反撃は事実上不可能なのが現実です。
(現代の先進国の軍隊に所属する兵員が:志願兵であったとしても:戦闘員と非戦闘員の区別が不可能な状態で無差別な攻撃が出来るとは全く思えない・・・つまり、RMAだろうが何だろうが誤爆は誤爆でしかなく、誤射は誤射でしかない、っというのが実情だと考えます)

Memo-04.
 
 市街戦で輪を掛けて厄介なのは、テロリストへの協力を(消極的な、という意味の)を一般民衆が拒絶した場合、殺害される危険性を十二分に認識しているのはその地域で半ば人質になっている一般住民(非戦闘員)なのですが、付随的被害が続発してしまうと
嫌々ながら協力させられているにも係らず相手側の誤爆、誤射による死傷する事で憎悪がテロリストではなく(テロリスト側の攻撃は一般住民の側から行われるのでそれ自体で被害が発生することはほとんど無い)相手側に向けられ可能性が高くなり非戦闘員だと確認された人間が
いきなり敵対行動を採る可能性すらあります(ボスニアで実際に発生している)。

 
 今後予想される(イラクも含めて)第三世界との戦闘に於いては軍事組織同士の対決等と言う問題よりは、(占領)統治作戦(政策)・・・全般的な武装解除や民兵組織の解体(再編)等の一般国民相手の(準軍事)作戦の実行能力の方が重要になるのはもはや明らかだと確信します。
 
 特に第三世界の一般国民が持つ
”大道を捨てて小異に付く”
文化傾向では為政者達の圧制による息苦しさは感じていても、その打開の為に民衆が決起、蜂起する等と言うことはほぼ皆無だと考えられ例え起こったとしてもそれは直近の(タイ型)民主主義が馴染んでいるはずのタイで発生したクーデターの背景となった
大衆動員型のバラバラで後先考えない反体制運動であるが故に軍部のクーデターを許してしまう、纏まらない、纏められない大衆意識を凌駕する纏まった意識(上官の命令には盲目的に絶対服従というだけの意識)を持った装備は近代化していても意識は前近代な軍隊同士の決戦は簡単にケリが付くが
その後の問題に対応出来るRMAが必要でそれをイラクでは実施出来なかったのだと考えます。
 
 それ以上に、未だに僕にとっては不思議なのですが・・・地上部隊を必要とするRMAって革命等と表現すること自体がおかしいんじゃないか?なんですけどね・・・
 
 
2006/11/1

A scenario to isolation:Operation Erasion--U.S.

 カカシさんのブログでブレストということで「イランをどうするか」に関するエントリーが4つ程掲載されています(僕がネゲティヴなコメント付けてますが・・)。
イラン攻撃作戦1、攻撃作戦の選択色々 October 23, 2006
イラン攻撃作戦2、斬首作戦 October 24, 2006
イラン攻撃作戦3、ムラーの顔丸つぶれ作戦 October 26, 2006
イラン攻撃作戦4、スーパー経済制裁 October 27, 2006
 個々の作戦に対するコメントはともかく、イランという中東での大国を相手に現体制を崩壊させて新米寄りの政権(これさえ、現実的にはかなり難しいんですが)を成立させることが可能か否かを考えた場合、可能性が無きにしも非ずなのは最後の「スーパー経済制裁」位ですか・・・・
 
 そもそも、イランが核開発の意思を鮮明にした結果、宗教評議会を筆頭にしたイラン指導部が夢想する「中東地域の覇権」を握れる可能性・・・とは一体、どの程度のモノのなのか?なのですが・・・実はそう大した効果を得られるとは思えない。
 
 彼らが核兵器開発を真剣に考えているか?という部分は確実なのですが、彼らがその核武装することの拠り所としているのは「(地域)核抑止力」であって、第三世界特有の多勢に無勢を単に核兵器に置き換えたに過ぎない。
(当然、イラクを初めとする湾岸アラブ諸国は核武装後のイラン・ファクターの影響の増大を考えると身の毛もよだつでしょうから、大騒ぎになるでしょうし、イスラエルも警戒レベルを格段に上げることは間違いがないのですが・・・・)
 
 欧米諸国も湾岸アラブ諸国もイランに対して警戒感を持つ最大の理由は、宗教評議会の世間知らずの坊主共が後先考えずに核兵器を使用してしまう可能性が現時としてあるからですが、かと言って欧州や米国本土に迄到達可能な戦略核を保有出来るレベルには
例え中ロが積極的に支援したとしてもそう簡単に到達出来るものではない(020年には核兵器開発が完了するとかいう観測もあるようですが・・・)。
 
 DPRKの問題に対する米国の認識はあくまでも「中国に任せる」方針でしょうから(統合参謀議長が精密誘導兵器は中東に配備しているので、DPRKを軍事的に叩く場合には、旧型での爆撃になり悲惨な結果を招くだろう・・とか発言しましたが、これも実はDPRKに対してというよりは
イランに対する警告がそのメッセージの中心になっているのは明らかなんですが・・・:その理由は後述)
 
 カカシさんへの僕のコメントでも書いていますが、イランに対する対外工作等をCIA主導で・・・なんてのは実際は在外公館がイランにないのですから、そもそも不可能な話なのですが、それ以上に第二次イラン革命を扇動するにしても
そのパトロンが簡単に米国だと分かってしまうような作戦はCIA自身が嫌がるでしょうし、議会の承認を得られるとも思えないですし、一応は主権国家の政権転覆を狙った対外工作は国際社会(特にUN)から非難の嵐に晒される。
 
 そうした事態を避ける為にパトロンが直ぐに判明しないような作戦を・・・これもまぁ、現実的ではない。
なぜなら、対外工作自体の原則としてあるのは可能な限りシンプルな作戦でないと、その秘匿性が簡単に瓦解してしまうからに他ならないからでもあります。
(大規模な陰謀・・・なんてのはそれこそ映画や小説の中だけの話でしかない訳で、第三世界でいわゆる陰謀が可能なのは体制側にしかない、というのが現実ですからイランと国交のない米国は体制側でもなんでもない、つまり、第三世界で陰謀が成功するのは
誰がやったか誰もが知ってはいるがそれを口に出す訳にはいかない状況でない限り成功等するはずもない・・・ということです)
 
 こうしてみると、米国にイランに対して軍事攻撃や対外工作を仕掛ける意味も理由も実はないにも関わらず、何気に強硬姿勢を取っているのか?ですが
  1. イラク攻撃の結果の混乱の責任を中東湾岸諸国に取らざる得ない。
  2. 湾岸戦争から旧フセイン体制崩壊に至るプロセスで湾岸中東諸国に原油価格上昇という形で財政(特に外貨保有量)の回復を行ってきたが、同時にイランの財政も潤沢にしてしまった為に武力行使オプションを米国が保持し続けていることを湾岸アラブ諸国に示さなくてはならない。
の2点の優先順位が高いからだろうと考えられます。
 
 乱暴な表現を使うと
湾岸アラブ諸国に対して、イランの核兵器開発によって強化されるであろうイランの地域覇権から米国は軍事オプションの行使すら念頭に置いた体制で湾岸アラブ諸国に対する安全保障を堅持し且イラクの治安回復に全力を尽くす。
具体的な姿勢を湾岸アラブ諸国に見せなくてはなならくなった・・・・ということでしょうか。
 
 実質、政治的には、経済制裁等の外交的な手段しか存在しない訳ですが、軍事オプションはかなりしっかり持っている(湾岸アラブ諸国が最も理解出来るのも実はこの部分しかない訳ですので・・・)
 
 イラクの治安回復がどの程度掛かるのか?は未知数でもあるので、地上部隊をイランへ展開する等は全く出来ない相談ですので、米軍お得意の空爆主体とはなる訳ですが・・・
イラク攻撃のような限定的な空爆では・・・領土の広さ、人口の多さ(それもほとんどが湾岸アラブ諸国にとっては歓迎等出来ないシーア派)からして期待出来る効果を挙げられるとは思われない。
ことから、対中国と同等の対応をしない限り、湾岸アラブ諸国の不安を消すことは出来ない。
 
 その結果、旧ソ連崩壊によって使用可能になり、米軍トランスフォーメーションを可能にする戦略核によるイラン消滅作戦を軍事オプションの初手からジョーカーを切る覚悟があることでイランにも湾岸アラブ諸国にも納得させている・・・理にかなっているんですが、その方が。
 
 この戦略核使用は別段米国本土から発射する必要性は全くないんですね、ペルシャ湾にOhio class submarineを一隻配備しておけば全く問題がない。
このオハイオクラスが搭載しているTrident missileでは、イラン主要都市全てを破壊することが出来る。
(100~475Ktの威力を持った核弾頭192発を持った24基のトライデント)
 
 確かに中東地域では品疎な戦術核でも装備することによって核抑止論よりも核武装を背景にした覇権主義は可能であっても、核超大国でもある米国が既にMAD等を信じていないばかりか歯牙にも掛けていない状況では、イランの核開発と核武装等全く意味を成さない訳ですから
イランの広大な国土にその戦略核を使用しない理由がそもそも存在しないことになってしまう。
 
 更に、イランに戦略核を使用する覚悟がある・・・という効果は、欧州でのイスラム移民の暴動やテロ行為に対しても「本当にアメリカが怒るとどうなるか?」を具体的に且彼らが最も理解しやすい方法で分からせることさえも可能になる。
 
 トライデントの目標到達制度は数十メートルとも言われていて、戦略核でありながらその精度は精密誘導兵器と言っても過言ではない性能に達しているとから、その破壊力は都市1個を丸々消滅させることが出来るにせよ・・・・何処へ落ちるか分からないミサイルとは比較にはならない訳で
・・・統合参謀議長の発言は、そういう意味の方が強いことになる訳です。
 
 何もアレコレ複雑で実行が難しいオプションをブレストする必要など端からある訳がないのです!
現在の国際情勢からして、MADが成立しない状況で米国は戦略核を使用する覚悟が明確にあり、その証拠としてペルシャ湾の海底にはSSBNが一隻、常にイランをその照準に捕らえていることをしっかり世間知らずの坊主共に分からせよ!・・・っというだけでいい。
 
 国際社会は流石に、このオプションを表面的には支持出来るモノではありませんが、特に英国、欧州勢はその内心では国内事情からしても絶対反対にもなりえない。
 
 故に、非難轟々にはなるでしょうが・・・米国が世界で孤立する等ということもまずは起こりえない。
 
 日本がイランとの石油利権や輸入にばかり拘っていると・・・・置いてけぼりを喰うことになてしまう可能性は無きにしも非ずになってしまう。
かといって、日米同盟を破棄して独自核武装の道を選択するにせよ・・・前ログのような状況に陥ってしまった場合、邦人保護の名目で海外派兵に踏み切るだけの覚悟が果たして出来上がるのか?
 
 戦後60年の平和至上主義は単に国防を自前で行えば・・・等という範囲をはるかに超えた地平になっていることを理解した上での話しであってほしいものです。
 
 
2006/10/25

A scenario to isolation:Indochina crisis-2 Live and Let Die

 前ログでは、ASEAN諸国が日本の核武装を契機に、元々域内の各国がその根底に抱えている不信感から混乱を拡大し始めるシナリオを書いた訳ですが、本稿では米国の軍事戦略上の観点から、日本の核武装論が如何に奇妙なモノであるか?を考えてみます。
(因みに、本稿のテーマ:Live and Let Die:は007の映画のタイトルにも使用されたモノですが・・・現実はまさにその通りの状況に進んでいるのではないか?っと考えましたので採用しました)
 
 先ず、前ログで紹介したライス国務長官と麻生外務大臣の声明をもう一度確認してみます(文中、大文字赤字斜体強調は筆者)。

■ 日米外相会談後の共同会見(概要)平成18年10月19日
 
(3) 加えて、私たちは、この重要な時期における日米同盟の重要性について協議した。米国は、1960年の日米安保条約を含めた全ての安保体制上のコミットメント含め、日本の防衛に対する米国の確固たるコミットメントを大臣に再確認し、
明日安倍総理に対しても再確認する予定である。自分は、ブッシュ大統領の、米国は日本に対する抑止と安全保障のコミットメントをあらゆる形で、繰り返すがあらゆる形で(full range)履行する意思と能力を有している、との10月9日のステートメントを再び述べた。
 
 また、仮に北朝鮮が核関連物資・武器を他国や非国家に移転する場合、その責任は北朝鮮が負うことになる旨ブッシュ大統領は明らかにした。現在は、同盟国が特に協調すべき時期である。我々の同盟関係は、この地域の平和と安定の重要な柱の一つであり、
現在更に強固なものとなっている。これは全ての関係国が承知しておくべきことである。

 
 上記強調表示の中でも特に重要な部分は
繰り返すがあらゆる形で(full range)履行する”意思”と能力を有している。
の”意思”という箇所だと考えます。
 
 なぜなら、ラムズフェルド国防長官お気に入りの”米軍トランスフォーメション”がなぜ可能なのか?をこのライス国務長官の声明は雄弁に物語っているからに他ならないからです。
 
 中国やDPRK(イラン等も)が信じている核兵器保有によって生じるMutual Assured Destruction, MADから米国からの攻撃を抑止出来るとするDeterrence theoryが実は全く機能していない、正確には肝心の米国は当の昔に放棄してしまっていることを理解する必要があるのです。
 
 この理屈は、冷戦時代の旧ソ連との間、お互いが同じレベルとスピードで核兵器開発を行っている状況でしか成立しないモノなのですが、現状では旧ソ連の崩壊によって残された「核武装した超大国」は米国一国しか存在しない。
つまり、米国と敵対する国家も米国と同等の核兵器を保有していて実際に使用したらMADどころか地球さえも消滅しかねない状況で”のみ”有効な理屈だ、っということです。
 
 しかし、現在の状況は如何に中国が十数億の国民を抱えて国土的に大きかろうが旧ソ連と同等の核兵器保有をしている訳ではありません(特に戦略核兵器)。
・・・すなわち、冷戦時にはMADになる確率を恐れて使用出来なかった戦略核兵器が
戦略核兵器を使用可能な状況が生まれている(敵対国を完全に灰燼に帰すことが可能だが自国と地球が消滅する危険性は消失した)
っということに他ならないのです。
 
 この当たりは平成18年版防衛白書の中の「第1章 わが国を取り巻く安全保障環境 第2節 諸外国の国防政策など 1 米国」でも確認することが出来ますので、引用を以下にしてみます。

カ 核戦略

 
 02(同14)年に発表された「核態勢の見直し」(NPR:Nuclear Posture Review)では、ロシアとの相互確証破壊11という観点から核戦力を決定するのを止め、米国と同盟国・友好国の安全保障上、必要最低限の水準の核戦力を維持することとするとともに、
今後は、核戦力のみならず、通常戦力と防衛システム(ミサイル防衛)を含めた新たな抑止力が必要であるとしている。
そのため、抑止態勢を、
 
1)大陸間弾道ミサイル(ICBM:Intercontinental Ballistic Missile)
 
2)潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM:Submarine-Launched Ballistic Missile)
 
3)戦略爆撃機
 
という冷戦時代の3本柱から、
 
1)核戦力と通常戦力からなる攻撃能力
 
2)防衛システム
 
3)国防基盤(国防産業、調達体制など)
 
という新たな3本柱に移行するとしている。新たな3本柱は、ミサイル防衛や通常戦力(特に先進的な兵器)も重視することにより、核兵器への依存を低下させるとともに、大量破壊兵器が拡散している中での抑止力の向上を図っている。
本年のQDRも、NPRの新たな3本柱という考え方を踏襲し、核抑止力を保持するとともに、通常兵器による広範な打撃能力やミサイル防衛能力を保有するとしている。
 
キ 2007年度予算案
 
 2007年度国防予算案は、本年公表されたQDRを踏まえた最初の予算であり、
 
1)非正規戦での勝利(陸軍のモジュール化12、特殊作戦部隊強化など)
 
2)本土防衛(生物兵器防護、ミサイル防衛など)
 
3)米国の軍事的優位の維持(艦艇、航空機の調達など)
 
4)軍人およびその家族の支援(住宅対策)などに重点を置き、2006年度国防予算と比べ285億ドル、約6.9%増の4,393億ドルを計上している。
 
(2)軍事態勢
 
 核戦力については、米国は、第1次戦略兵器削減条約(START I:Strategic Arms Reduction Treaty I)に基づく戦略核兵器の削減を、同条約の定める期限である01(平成13)年12月までに完了した。
現在の米国の戦略核戦力は、ICBM550基、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN:Ballistic Missile Submarine Nuclear-Powered)14隻、SLBM432基、戦略爆撃機114機、核弾頭数5,966発となっている。
さらに、戦略攻撃能力削減に関する条約(通称「モスクワ条約」)により、核弾頭数を12(同24)年末までに1,700~2,200発に削減することとしている。なお、本年のQDRにおいては、2年以内に潜水艦発射型のトライデントミサイルに精密誘導通常弾頭を搭載するほか、
ミニットマンIII大陸間弾道ミサイルの削減などを行うとしている。
 
 このように、米国は、核戦力への依存を低下させる一方で、通常戦力について、特に先進的な兵器を重視していくこととしている。
 陸上戦力は、陸軍10個師団約49万人、海兵隊3個師団約18万人を擁し、米国のほかドイツ(陸軍2個師団)、韓国(陸軍1個師団)、日本(海兵隊1個師団)などに戦力を前方展開している。陸軍は、長期化するテロとの闘いに対応するため、戦闘部隊と支援部隊を、
旅団規模のモジュール化された部隊に再編成している。なお、本年のQDRでは、陸軍現役兵に117個(42個の旅団戦闘チーム(BCT:Brigade Combat Team)と75個の支援旅団)、陸軍州兵に106個(28個のBCTと78個の支援旅団)、
陸軍予備役に58個(全て支援旅団)のモジュール化された旅団を創設することにより、常時利用可能な戦闘力を46%高めるとともに、戦闘部隊と支援部隊のバランスを改善するとしている。

 
 白書が述べていることは、米軍は「冷戦時程の核兵器依存度を保つことはしないが(維持費が大変ですからね)通常兵器と核兵器を統合運用することにした」ということであって、戦略核兵器を無くしてしまう等とは全く言っていないですし
米軍の軍事的優位の維持・・を明確にもしている訳ですが、こうしてみると一般に非正規戦、非対称戦はイラク等のように市街地戦闘ばかりに耳目が集まっているようですが、実は核兵器のレベルでも確実な非対称の状態になっている・・・故に上記で書いたような状況が発生することになる訳です。
 
 当然、米国の中ではライス長官が述べた「Full Range」の中身(軍事力行使レベルの格付け)が存在するでしょうから、
Top range:戦略核兵器を使用して中国を灰燼に帰す決意(意思)と能力であり
Bottom range:精密誘導兵器(場合によっては戦術核兵器)を使用してDPRKに限定的先制攻撃を加える決意(意思)と能力がある
ことを声明は明確なメッセージとしていることになります。
 
 このスタンスの基本は
  • 米国は中国を「大国」だとは全く認めていない
 という所から始まらなければなりません、つまり米国と互角な立場になろうとするのであれば、中国はその経済力でも(これはちょっと疑問ですね、なぜなら現在も将来も中国が製造して輸出出来て外貨を稼げるモノの大半は別に中国製である必要は全くないモノばかりでしょうから
:日本も現実は同じなんですが・・・)軍事力でも毛沢東が信奉した「核抑止」が働くだけのレベルに達しなければならないが、それには先ず北京五輪と上海EXPOをしっかり成功させて国際社会の評価を確実なモノとする必要があるが、今回のDPRKの問題に
責任を負うことで前段階として国際社会に責任を負えることを証明して見せなくてはならない!そうしたことも満足に出来ないうちに未だに人海戦術を基本とするような軍備拡張を続けるようならば米国はTop rangeの処置を実施出来るだけの意思も能力もあることを認識しなければならない!
・・・っと米国を訪問した唐家セン国務委員らに明らかにした、その結果、彼はライス国務長官に先立ってロシアを訪問したり、DPRKへ行ったり、中国外務省は経済封鎖処置を拡大するという具体的な行動を示し始めた、とも考えらるのです。
 
 それでは日本に対する米国の認識、特に核拡散領域ではどうなのでしょう?このブロクでも度々コメントを頂く舎さんの”グローバル・アメリカ正論”に北朝鮮核危機への対処とい記事がありましたのでその中から若干引用させてもらいますと

■ 国際経済研究所のマーカス・ノーランド上級研究員がフォーリン・ポリシー誌秋季号のインタビュー
 
日本
 
能力:「核兵器に転用できるプルトニウムの貯蔵量は23tに達し、兵器レベルのウラン濃縮の技術もある。日本は世界でも最大で最先端の民間核利用技術を持っている。」
 
動機:「北朝鮮の急速な核開発によって日本の世論も変わってきており、核保有の是非について国民的な議論が必要だと主張する政治家も現れている。」

 
 此処で述べられている”動機”の部分は何気にメディア向けのような気がしますし、肝心の「目的」が語られていない。
つまり、日本が核武装する目的”も”DPRKへの対応というレベルならば、それこそDPRKが崩壊した後武装した核兵器はどういうことになるのか?になってしまうので、DPRKは動機というよりは単に独立した国家主権が装備する当然の防衛力としての核武装を行うキッカケでしかない可能性が高い。
(この辺りはMSN-BBS:日本を考える②:危機管理と安全保障の僕の最新投稿をご覧下さい)
 
 米国は日本が核武装して迄その独立した国家主権を明確にしたいのであれば、真のアジアの盟主として、極東アジアから中近東にかけての第三世界が集中する地域の自由・民主化と安定に責任を負うだけの覚悟があるのか・・・を確認する必要があるはずなのです。
 国際法や条文の文言を理屈としてだけ理解して、独立した国家主権としての核武装の正当性等・・・早い話がTVゲーム的な国際社会認識しかないばかりではなく、事態の混乱を収拾する為の最後の手段として自らの手を血で汚すだけの危害が本当に日本にはあるのか!が問われているのではないかと考えます。
 
 もしも、そうした気概が無いのであれば、不必要な理屈を捏ね回すだけの核武装論等を弄ぶことなどせず、日米安保による日米同盟に全体の信を置くべきなのは日本自身なのではないか?・・・っとメッセージがライス長官のあの服装にも表情にも込められていたことは間違いがないでしょう。
 
 前ログでのシミュレーションの中では敢えてDPRKのASEAN域内での対日破壊工作の可能性は含めていませんが、海に囲まれて在日韓国、北朝鮮の人達が多数存在するにせよ日本国内で首謀者が誰かが簡単に判明するような破壊工作をするメリット等皆無なのです。
 
 そんな無謀な破壊工作よりは、海外の日系企業や在留邦人に対するテロ行為の方が日本国内に対する様々な影響という意味では抜群に効果が高いのは言を待ちません。
(日本国内で無謀なテロを行うよりは簡単ですし:海外の在留邦人、日本人観光客のほとんど全てが、自分達はその現地に対して友好的であり自らの仕事も軍事的なモノではないから安全だ!という全く根拠の無い意識を持っている:余程のことが無い限り
テロ工作の犯人が逮捕される心配がない)
 
 前ログのシミュレーションで発生した混乱を核武装した日本はどうやって収拾するつもりなのでしょうか?
 
 MSN-BBSの最後でも書いたように、日本が核武装をした即孤立する訳では決してありません。
 核武装していわゆる独立した国家主権となったにも関わらず、関係した混乱を自らの責任で覚悟を持って収拾出来なくなることで日本は国際社会の中で孤立の道を自らが選択してしまうことになるのです。
2006/10/24

A scenario to isolation:Indochina crisis-1

 DPRKの核実験(もどき?)関連の記事を書かない訳には行かない(そんな雰囲気の)ようですので、本稿では
『日本が核武装を完了した場合のインドシナ半島、ASEAN情勢』に関するシミュレーションを(あくまでもFictionですが)考えてみたい・・・と思います。
 
 その前に、10月18日のライス国務長官と麻生外務大臣の共同会見の中から”ライス長官の発言”を引用しておきます(外務省HPから)。

 
(3) 加えて、私たちは、この重要な時期における日米同盟の重要性について協議した。米国は、1960年の日米安保条約を含めた全ての安保体制上のコミットメント含め、日本の防衛に対する米国の確固たるコミットメントを大臣に再確認し、
明日安倍総理に対しても再確認する予定である。自分は、ブッシュ大統領の、米国は日本に対する抑止と安全保障のコミットメントをあらゆる形で、繰り返すがあらゆる形で(full range)履行する意思と能力を有している、との10月9日のステートメントを再び述べた。
 
 また、仮に北朝鮮が核関連物資・武器を他国や非国家に移転する場合、その責任は北朝鮮が負うことになる旨ブッシュ大統領は明らかにした。現在は、同盟国が特に協調すべき時期である。
我々の同盟関係は、この地域の平和と安定の重要な柱の一つであり、現在更に強固なものとなっている。これは全ての関係国が承知しておくべきことである。

 
 では、

【インドシナ・クライシス シミュレーション-1】
 
 20XX年、日本は純国産MIRV(Multiple Independently-targetable Reentry Vehicle)仕様で射程800km~6,000kmのIRBM : Intermediate-Range Ballistic MissileとMRBM:Medium-RangeBallisticMissile配備を完了すると同時に
DDG(Guided Missile Destroyer:イージス艦)にも純国産Cruise Missile(弾頭種類は不明)の装備を完了するに至った時点からこのシミュレーションは始まります。
 
 日本の核配備は当然のように本土防衛という観点から太平洋側には配備されていないにも関わらず、日米安保条約は破棄され日本国内に駐留していた米軍もグァム、ハワイの基地を残すのみとなって、日本の”主張する独自外交”と称される政策が本格的に始動し始める。
 
 当然、戦術核とは言いながらその目標が何処を指しているのかは軍事機密ではあっても、韓国、DPRK、中国、台湾海峡付近及びインドシナ半島北部太平洋側迄は含まれているのは周知の事実として認識されていた。
 
 自衛隊は核配備によって、特に陸上自衛隊の機械化師団等は削減統合され、より本土防衛に的確に対応することとPKO、PKFへの積極的な参加を目指した部隊装備編成に変更され、現在以上に敵対国への侵攻、占領能力は皆無の状態になっている。
 
 日本政府は、防衛庁を防衛省に格上げし、配備された核兵器の性能維持の観点からより積極的なシーレーン防衛を目指して海上自衛隊の拡充に力を入れる方向性を打ち出していた。
 
 又、日本政府はシーレーン防衛の中でもスマトラ海峡を航行するタンカーの護衛を確実なモノにしようと、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピンとの間で準同盟関係の締結を目指し、物資補給の為のDDG艦船の寄港を実現しようとしていた。
(インドネシア、ブルネイとは中東からの原油確保に問題が生じた場合を想定して、資源開発の名目で油田の独自開発を無償ODAの形で提案をしていた)
 
■ [シンガポール]
 
 リー・シェンロンは、シンガポール人と言うよりはその長い海外留学の影響から既にアジア人ではなくなっている為にシンガポールの生存策(リー一族の生存策)としてChina-Moneyを主体とするアジアの金融取引センター化を目指していたので(愛国心等と言うモノは持ち合わせていない、
国際銀行家としての見識が優先されている)、米国第七艦隊のシンガポール寄港とは全く違った意味合いを持つ海上自衛隊DDGの寄港には中南海への配慮からかなりな懸念を持っていた。
(米中の直接対決は両国がUNの常任理事国であることに加えて、中南海指導者の中国共産党的現実主義からも台湾問題にしてもその解決には更なる長期化が予想されるが、こと日中間となると・・・事態が急を要する可能性を否定することはほとん出来なかった)
 
 その結果、海自DDGのシンガポール寄港を含めた日本との準同盟国条約の締結には(これ迄の日本との関係も考慮して)継続検討課題とすることにして(日本的に言うと”寝てしまう”ことで)先送りし、緊急事態が発生した場合、事前に寄港の是非を協議する・・・という共同声明レベルに留めてしまう。
 
■ [マレーシア、インドネシア]
 
 スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領、アブドゥラ・バダウィ首相共に政権基盤が軍部掌握という面で不安要素を抱えている関係から、日本が示す防衛政策の基本が「反共」にあることは軍部の中でも支持する勢力はあるが必ずしも全体的な支持のレベルに迄は至っていなかった。
 
 マレーシア、インドネシア間にある相互不信感は依然として強く、強力なミリタリパワーを持った日本との間の準同盟関係締結にはどちらが相手よりも優位に立てるか?が焦点となりアジア人特有の”重箱の隅を突く”ような・・・「海自DDGが寄港する順番」といった事柄に議論が落ち込んでしまっていた。
 
■ [タイ]
 
 06年に発生した軍事クーデターによる改革評議会による指導体制は国際世論の非難にも関わらず維持されており(まともな民主政党がなかなか誕生しない、という国内事情の関係から改革評議会を解散したくても解散出来ないという状態になっていた)、南部の分離独立運動は
タイ初のイスラム教徒司令官でもあるソンティ議長の誕生にも全く関係なくその発生頻度は上昇し続けていた。
 
 又、暫定内閣はそのエリート層独特の非現実感と国民事情への差別、優越感からの無知さを曝け出しており、当初の地域振興、貧困撲滅等のキャッチコピーは相変わらずコピーのままで、有効で具体的な手段を何一つ実現させてはいなかった。
 
 そうした状況の中で、現国王の退官(実際は死去によって)Crown Prince Maha Vajiralongkornが王位(国軍最高司令官)を継承していたが、彼の基本理念は「大タイ思想」であり、いわゆる”オリジナルタイ人の復権”を真剣に夢想していることから、イスラム教徒、架橋系タイ人の政治的な勢力拡大には
好感を抱いていてはいなかった為に、南部情勢の安定化が実現しないことと架橋系タイ人が多数を占める暫定内閣の優柔不断さに業を煮やして、改革評議会を解散し新たに腹心の部下達を評議会メンバーと指名して新たな暫定内閣を国王自らの意思で発足させる事態となっていた。
 
 新国王は元々、徹底した”反共思想”の持ち主であることから、日本の核武装に伴うタイとの準同盟関係の確立には積極的に反応し、暫定内閣の首相に日本との条約締結を協力に推し進めるよう支持をだした・・・・・
 
 特に、暫定タイ政府は、国内にあるほぼ全ての日系軍需産業が日本の核武装に伴って行われた武器輸出三原則の廃棄から、タイ国軍に対する独自セールスを実施するようになり、日本の技術力と効率化されたラインから生み出される低価格で高性能な武器の供与が容易になり
且つ保守管理も現地法人で可能になったことからこれ迄米国からの供給に頼っていた装備を一斉に日本製の兵器への転換を開始し始めた。
(結果的にタイ王国は国防予算を大幅に削減することが可能になり、これ迄無用の長物であったASEAN唯一の空母の利用者も確保出来る可能性が高くなったと皮算用した)
 
 しかし、シーレーン防衛をあくまでも念頭に置く日本政府は海自DDGの寄港地がシャム湾をかなり深く北上しなければならないタイでは必ずしもその機動性を生かせるとは考えておらず、条約の締結には踏み切りはするが、日本国内的には必ずしもタイの優先順位は高いモノとして評価されなかった。
 
■ [ヴェトナム]
 
 グエン・タン・ズン首相の基本はその「ベトナムへの愛国心」が優先されるのは周知の事実であり、06年に国賓級の扱いで日本への招待を受けたとは言いながらも、在越日本大使館の陣容には必ずしも高い評価を与えておらず、日本大使館側も効果的な関係をグエン・タン・ズン政権と構築出来ているとは言い難かった。
 
 更に、ヴェトナム愛国者の視点からすると、日本の核武装の目標が中国へ向けられているイコール反共対策であると認識され、その反共政策の一環として日本の独自シーレーン防衛論から、陸続きのタイとの間に同盟関係が締結されるに至って、
ヴェトナム戦争当時の、タイ王国とタイ人がヴェトナムに対して行った蛮行への怨念から、タイが日本のミリタリーパワーと経済力を利用して、カンボジア、ラオスを通過してヴェトナムへの攻勢を再度、有形無形に掛けてるくる可能性の高さを確信していた。
 
 しかし、中南海との政治的な協力関係を再構築するには余りにも中南海の覇権意識の強さから不可能であり、ドイモイ政策の更なる進捗を考慮する限り、共闘による日本への抑止路線等は到底採れるモノではなく、独自の対日工作を実施することで日タイ同盟の弱体化を画策する方針を採用する。
 

Memo:
 
 ヴェトナムの独自対日工作で考えられるのは、タイ国内での日系企業及び日系人に対するテロ行為を発生させることで、共闘関係ではなくとも中南海に対して日本のミリタリパワーの分断を実現し、いわゆる”恩を売る”ことに特化した作戦を採用する。
 
 国境の広大な無人のジャングル地帯を通って特殊部隊等を潜入させることは、反共に凝り固まったタイ国軍、特殊武装警察と直接対峙する可能性が高くなり万が一、捕虜、装備の鹵獲等に至った場合に国際問題に発展することから、一般のカンボジア人、ラオス人、ミャンマー人、
ムスリム系タイ人を利用する作戦を採用する。
 
 タイ国内にある日系企業の全ては危機管理に関する認識は皆無であり、相変わらずその決裁権は全て日本国内の本社に依存してる関係から、派遣されている人員も技術者、高度作業員だけであり彼らが未経験領域である現地法人の総務、財務迄管轄している為に、
危機管理を認識せよ!ということ自体が理解の外にあって、何をどうすれば良いのか?も又その方策の決定、実施さえも現地では行えず、日本本社側も現地の事情に正確な理解を持っていない為に、危機管理の代表格である「テロ対策」等は想像することも出来ない状況にあった。
 
 手始めにタイ南部の分離独立運動を利用した形で、タイ中南部工業団地にある日系企業(本社は日本軍需産業)の従業員福祉の一環として実施している「通勤バスの爆破」から開始する。
 
 方法はいたって単純で、警備体制も何もない状況であるので、ムスリム系・タイ人に朝の出勤時にバスが停車する傍で”朝粥の屋台商売”をするようにお膳立てする。
その屋台には携帯電話を利用した遠隔起爆装置と高性能爆薬を仕掛けておき、当の商売をしている人間にはその事実は完全に伏せておくいて、一週間程度実際の商売をさせておいた後で、現地従業員もろとも爆破する。
 
 この段階で被害に遭うのはタイ人だけに限定されることから、単身赴任している日本人従業員が好むミャンマー人、カンボジア人の女性(バーガール等)を利用して篭絡させた後に拉致誘拐すると同時に殺害する(人質を取る方法は一切採用しない)。
 
 意味もなく、あくまでも日本国内向けに拷問を加えた後に殺害した遺体を発見されやすい場所に放棄して、タイ国内警察が発見すると同時に、あたかも南部分離独立運動過激派が犯行を実施したかのような声明をインターネット上に発表する。
(方法は、イラク等で行われた外国人誘拐殺害と同一のモノを採用する)
 
 発表される声明文は「日本のアジア覇権主義の軍事大国化とその共犯者であるタイ国に対する懲罰であり、タイ国が日本覇権主義者と手を切らない限りレジスタンスは継続される!」というモノとなり・・・・タイ各地にある日系企業と法人が確実なターゲットとなって被害が即発し始めると同時に
タイ政府は事態の急激な悪化により、新国王自らが「全土戒厳令」を布告する事態になる。

 
■ [日本]
 
 日本国内でのテロ行為が発生することはなかったが、タイ国内における日系企業及び邦人に対するテロ行為の頻発に対して、日本政府はタイ政府へ早期の解決と日系企業、邦人保護を強行に申し入れるが・・・肝心のタイ国内では
組織だったテロ行為ではないことに加えて、多くの日系企業に従事するタイ人も巻き添えを喰って死傷していることから・・・被害に遭ったタイ人への補償問題等を優先させることで国内での日系企業と邦人への反発を緩和しよとうという如何にもタイらしい政治手法を優先させ、更には
日タイの同盟関係を逆手に取るかのような日系企業、邦人保護を目的とする自衛隊のタイ国内派遣を許可する・・・という、全くの他人事手法迄繰り出すに至り、日本政府は通常弾頭Cruise Missile搭載のDDGと組織改変して出来上がったPKO、PKF専門協力部隊1個師団派遣することを決定する。
 
■ [マレーシア・インドネシア]
 
 日本海自DDGと1個師団のタイ国内への派遣を知り、マレーシア国軍は南部情勢の悪化に伴ってマレーシア北部に増派されていたマレーシア陸軍を更に増強することで、この事態に対応しようとする。
(シンガポールが持つ金融センター機能と偏った資産配分のシンガポールからの肩代わりも視野に入っている)
 
 インドネシアは、マレーシア国軍の北部移動に伴うマレーシア国軍の兵力減少に伴い、これ迄マレーシアとの国境が不確定で且つ海賊の移動が頻繁に行われていた地域での海賊掃討作戦という名目で実効支配線の確定を行う動きに出る。
 
■ [シンガポール]
 
 インドシナ半島内におけるマレーシア国軍の増強により、シンガポール領内からの架橋系追い落としの危険性を察知するも周辺諸国でシンガポールに組する可能性を持った諸国は一つもなく孤立無縁の状態に陥る。
 
 そうした状況に漬け込むように日本から同盟関係の締結を薦められるが・・・この日本政府の行為がマレーシア、インドネシア軍部からすると反共のはずの日本が自分達を差し置いてどうしてシンガポール等と・・・という疑いを持たれる状況を招いてしまう。
 
 その結果、周辺諸国がそこ迄シンガポールを中南海の出先機関としか見ていないなら、その通りにしようじゃないかっ!(どうであろうがリー一族とその資産さえ生き残れば何も問題はないので)ということで急速な中南海接近を開始する。

 
 この段階では、豪州、ブァム、ハワイへと撤退した米軍と米国は登場して来ません。
 
 なぜなら、日本が核武装をして迄行う独自外交のASEAN域内での推移を見ている(つまり様子見をしている)からに他ならないからだと思います。
 
 例え、日本が独自の核武装を行い、日米安保から離脱して行ったにせよ、日本は独裁国家でもなく民主主義国家であることに代わりがない訳ですから、保有した核兵器を問答無用で使用する等とは豪州も米国も考えてはいない。
 
 考えてはいないでしょうが、ヴェトナムの動向(ミャンマー、ラオス、カンボジア共)にはかなりな注意を払う可能性がある。
つまり、ヴェトナムが日本の核武装をその目的や動機はどうであれ、容認するようであれば核武装した日本にアジア地域の戦前とは違う意味での盟主の位置を認めても問題はない可能性が出てくる・・・・
(なので、今回のグエン・タン・ズン首相の日本訪問は色々な意味を持っている可能性が出てきますね・・・・
 次に、マレーシアとインドネシアが日本の核武装をと独自外交をどのように利用しようとするか?
 
 核拡散問題の最も重要な部分は、上記でも明らかなように、ASEAN域内で独自核開発やDPRK系、パキスタン系、イラン系の核兵器を購入する可能性を持った諸国は存在してはいません。
 
 しかし、日本が独自の核開発と核武装することによって、肝心の日本がASEAN域内への核拡散の元凶にならない!っと断言することが出来ないのではないか?・・・という疑念が残ります。
 
 なぜなら、日本が核武装の結果として日米安保から離脱して行く先に、核武装した日本と積極的に友好関係又は同盟関係を結ぼうと考える第三世界が存在していないからに他ならないからです。
(各国の独自の都合と勝手な解釈による基準は出来上がるでしょうが、それは現在の日米同盟とは全く異質のモノでしかありません)
 
 更に、上記で想定したような事態に陥った場合、日本は本当に邦人保護の名目で(つまり独自の判断で)海外派兵を決断出来るのでしょうか?
ヴェトナムが反発してあのようなテロ行為に出た場合、そのテロの首謀者と背景にヴェトナムが存在することを証明することはほぼ100%不可能なのです。
 
 なぜなら、タイでさえも街中の屋台の親父が隣に出来た大型スーパーに激怒してRPGをぶっ放させる、つまり軍事兵器だから管理が完全に出来ている等は夢物語でしかないのが現実なのです。
(アフガン等の偏狭地域で怪しげな武器の調達をして陸路を延々と密かに輸送する等の手間隙を掛ける必要など全くない:タい南部のテロにしても当初、南部に駐留するタイ国軍の兵舎がテログループに急襲され数百丁とも言われる軍用ライフルとその他の武器が強奪されました)
 
 その上、邦人保護名目でタイへ出動した海自のDDGに搭載した独自開発の巡航ミサイルの弾頭が通常火薬であることを海自は本当に証明出来るのでしょうか?
タイは本当に日本が信頼出来る同盟国としての立場を堅持してくれるのでしょうか?・・・・約30万人とも言われる現地の在留邦人と日系企業が
タイの人質ではない!・・・っと本当に言えるのでしょうか?
 
 核武装した日本が、それ迄の米国と同様にASEAN域内で絶対的なプレゼンスを獲得することが本当に可能なのでしょうか?
 
 可能性やブラフとしての議論を行うことは(議論で済むのなら)何の問題もないかも知れません。
しかし、如何に核武装して軍自大国になったとは言いながら、グランド・デザインも国民全体のコンセンサスとしての覚悟も決意もないまま(大国として国際社会に責任を負うという覚悟と決意であって、核兵器を使用するという覚悟と決意ではありません)
主張する独自外交と言いながらも、根本が対処療法外交のままであるなら、結果的にASEAN域内を単により不安定化させてしまうだけではないのか?
 
 日本はどうしたいのでしょうか?
 
 
2006/9/28

US military transformation to the wild geese?:Effect Based Operation

 どうも、米国の中間選挙が迫っている関係なのは分かりますが、イラクやアフガンの事情を国内政局向け”だけ”に共和党、民主党双方が利用している感が拭えませんが・・・アーミテージさんのこんな話を

【ワシントン和田浩明】
 
 アーミテージ元米国務副長官は27日、毎日新聞とのインタビューで、米軍駐留が3年を超えながら治安が安定しないイラクの状況について、「我々が勝利しつつあるとは思わない。
現状が長期化すれば敗北につながる」と述べ、駐留継続への米国内の政治的支持や、安定化を目指すイラク側の決意が重要だとの認識を示した。
 
 アーミテージ氏はイラクの現況を「米国は軍事的には負けもしないが、勝利も出来ない」と分析。しかし、米国内で根強い早期撤退論に対しては「今、我々が出て行けば事態は混とんとなる」と否定的で、イラク側主導の治安安定化を目指すブッシュ大統領の政策は「正しい方向だ」と評価した。
 
 アーミテージ氏は03年3月のイラク戦争開始時、国務省ナンバー2として、開戦に慎重だったパウエル長官(当時)を補佐した。同氏はフセイン旧政権の武力排除には賛成だったが、対テロ戦争の主戦場だったアフガニスタンの状況が安定するよう、
05年初めごろまでイラク開戦を待つべきだと大統領やチェイニー副大統領に進言したという。
アーミテージ氏は「結局、二つの場所(イラクとアフガン)に注意と兵力を分散することになった」と語り、戦線拡大を問題視した。
 
 一方、ブッシュ政権がフセイン旧政権の脅威を誇張したと批判した米外交官の妻について、米中央情報局(CIA)工作員だと03年7月に暴露した保守系コラムニスト、ロバート・ノバク氏の情報源となった問題では、「意図的ではなく、検察当局も問題視していない」と主張した。
質問を受けたので「CIAで勤務しているようだ」と答えたという。
 
 同年10月初めには、パウエル氏に相談してホワイトハウスに報告、司法省の調査にも「すべての資料を提供するなど全面的に協力した。(通信記録をチェックできるよう)妻のパソコンまで差し出した」と説明した。
 
毎日新聞 2006年9月28日 15時00分

 
 CIAの工作員の話を言ったとかいう話はともかく・・・問題はやはり前段の部分ですね。
 
 タイトルにもあるように、ラムズフェルド国防長官が固執する米軍のTransformationのドクトリンとて採用しているEffecet Base Opearion(EBO)に対する懐疑論がアーミテージさんにもあることがこのインタヴューからも伺えますね。
(インタヴュー全体が不明ですし原文が分かりませんので、どういうコンテキストの中でのこの話かは分かりませんが)
 
 米軍の最近の傾向を見ると(特に陸軍)・・・アメリカ国民の軍役に対する意識(認識)の低下からなのか(現在でも上院議員の中でその子息がイラクで軍務に就いているのは僅か1人しかいない)志願者を集めるのに最も効果を挙げているのはどうも”一時金支払い”だと言われています
(詳細は国防総省のHPでどうぞ)が、その詳細はともかく問題なのはこうし一時金の増加によって米軍が「米国社会が金で買っている傭兵部隊」という言われ方を始めていることですね。
 
 実際、EBOドクトリンからすると米軍はSmall,Smart and Speedy but Strongな軍事組織になること目指していて、それは敵の政治体制崩壊に絞り、自軍兵士や市民の死傷、民間施設の破壊を最小限に抑えるとの前提から「高空からの地上戦」とそれに先駆けた
特殊部隊(高機動化された部隊も含めた)の敵本丸への「迅速な進攻(余計な存在とは可能な限り接触しないで)」を行い(表現は悪いですが)”悪人だけを始末する”といったあたかも全軍が特殊部隊化したかのような変化なのですから、上記のような言われ方をしても仕方の無い部分がある。
 
 このEBOドクトリンが成功した・・・っと評価出切るのは旧フセイン政権崩壊迄の段階迄で(早々とブッシュ大統領が勝利宣言を出した時点迄)、実際は本格的な地上軍進攻後(バクダット包囲後)の混乱収集には言われる程の効果を示す迄は至っていないのが実情でしょう。
 
 しかし、EBOドクトリンの最大のポイントは市街地戦闘や対テロ戦において効果がある、っと言うものだったのですが、実はEBOを実施する為の前提条件が成立していないと市街地戦闘、対テロ戦にはその効果は未知数だった・・・・
(日本語でのEBOに関するWebがありますので参照下さい)
 こうした事態から、イラク開戦前には(アフガンの状況にも関わらず)まだ、アメリカ単独の武力行使能力には(フランスさえも)信頼を置いていたのが、政権崩壊後の混乱収拾(悪人を始末した後の迅速な治安回復)という段階迄にはEBOが至っていないのではないか?という疑義を抱かせてしまった。
 
 アフガンでも米軍から肩代わりしたNATO軍がタリバン残党に手こずってますし、イラクもその治安回復に増員しなければならないばかりか、イラクに足を引っ張られてイスラエル・パレスチナ・レバノン問題ではイスラエルの行動にフリーハンドを与えUNFITIもフランス等にその主導権を委ねるしかなくなってしまった。
(フランスはイラク、アフガンでのEBOの効果に懐疑的な為に、二の足を踏んでいるのが現実です)
 
 そうした現状があるにも関わらず、ラムズフェルドは一向に懲りた様子が伺えない・・・・ばかりか将来の米軍の姿としての「傭兵化」と「民間人の犠牲を抑える」EBOが確実になるのは間違いがなさそうです。
 
 しかし、こうした考え方の軍事組織を持った米国ってのは、例え民主党政権になったにせよ一抹の不安を感じてしまうのは、どうしてでしょう?
なぜなら、民間人の犠牲を抑えて悪人だけを始末出来る特殊技能を持った傭兵部隊(装備がまた半端じゃない)を即座に使える・・・のであれば、より先鋭化した先制攻撃が可能になるんじゃないか?っと妙な誘惑が大きくなりはしないか?なんですが・・・
(共和党よりも民主党の方が、こうした方法を好きそうなのも嫌ですけどね・・・・)
 
 
2006/9/4

IDF really strongest?:A limit of a limited battle

 今回のレバノン領内におけるイスラエル国防軍Israel Defense Forces (IDF))とヒズボラの戦闘の結果としては、いわゆる「勝者無し」の結論に国際社会(UNを筆頭とした)は何とか落ち着かせよう!という方向性である訳ですが・・・
 
 NHKの”Today's Close-up”でかなり興味を引く報道がなされていましたの、それを参考にしながらIDFの今回の問題点を考えてみます。

8月30日(水)放送
 
 一ヶ月に及ぶ激しい戦闘の末、ようやく停戦となったレバノン。イスラエルとの徹底抗戦を貫いたイスラム教シーア派組織ヒズボラは勝利を宣言し、その支持基盤をより強固なものとした。停戦監視を行う国際部隊の増強が進む中でも、武装解除には全く応じない構えだ。
 
 一方、イスラエルでは、ヒズボラの脅威を取り除けないまま停戦を受け入れたオルメルト政権への批判が高まり、強硬路線に向う動きが強まるなど、双方の火種は依然くすぶったままだ。
 
 更に、ヒズボラの"勝利"は「親米アラブ国家」とも言われてきたサウジアラビアやエジプトをも揺るがそうとしている。宗派を越えてヒズボラの戦果を称える民衆の怒りの矛先が親米政権側に向けば、アメリカの中東政策はますます厳しい状態に追い込まれることとなる。停戦後も、大きく揺れ続ける中東情勢の行方を探る。
 
(NO.2287)
中継出演
 
フリント・レバレットさん
   (米国家安全保障会議 元中東部長)
:別府 正一郎
    (NHKカイロ支局・記者)

 
 この中で、ヒズボラの”聖戦士”として”殉教”した青年の家族がインタヴューに応えていましたが、兄弟も両親も殉教したその青年が「ヒズボラに参加していたことも又聖戦士であったことも何も知らなかった」・・・っと発言していますし、事実、彼の部屋には
ヒズボラに関係するような軍服も武器も何も無い(通勤聖戦士だった)ので尚更、青年がヒズボラだったことは死亡して初めて分かった・・・とも言っていました。
 
 このインタヴューは、良くTV等のニュースでヒズボラがナスララが見ている所で閲兵式よろしく行進したりイスラエルと書いた看板をぶち抜いたりする場面で、ヒズボラ民兵が覆面を被っているのを、イスラエルや欧米側に人相が分かることを防ぐ為なのか?と僕も思っていましたが
(女房にこのことを話したら”はぁ~?知らなかったの?”っと鼻で笑われましたが・・・・・)
実は、ヒズボラが支配するレバノン南部の非戦闘員(一般市民)に対して『自分達の家族の誰かがヒズボラ民兵であることを隠蔽しておく』ことに主眼が置かれていたのではないか?・・・っということを証明することになっています。
 
 つまり、このことはヒズボラ民兵組織という確かな存在(職業軍人的な組織)としてヒズボラが平時には存在していない訳ですから、ヒズボラが非戦闘員の中に紛れてイスラエル国防軍との間でHit&away戦法で戦う為にIDFの攻撃で非戦闘員を巻き込んでしまうことは
イスラム・ジハードの解釈云々も確かにあるでしょうが、肝心の非戦闘員(一般市民)の中で「誰がヒズボラなのか?」が実は明確にはなっていなかった可能性が高かった為に、非難誘導されたと思っていた場所が実はロケット弾発射の傍で
知らぬ間に「人間の盾」として利用されていた・・・・為に頻発した、っと解釈するのが妥当なようです。
(IDFの攻撃によって、そうした非戦闘員が死亡した際の”言い訳”にイスラム・ジハードの個人責任が使われた・・・っとするのが妥当ですね)
 
 そうなると、ヒズボラがテロ組織であるとかないとか以前の問題として、非戦闘員を巻き込むことを前提として戦闘方法が組み立てられていることになりますから、いわゆる「限定攻撃」のような戦法でヒズボラを排除する又は殲滅する更にはロケット弾攻撃が不可能な地帯へ撤退させる
ことは当初から不可能な話であった・・・・っということになります。
 
 こうした事情はIDF側は事前に認識していたことは間違いがないでしょうね・・・(パレスチナ地域での経験からみても)
 
 ヒズボラの軍備に関する情報も報道でなされているようにIDF側が的確に認識出来ていなかった・・・というのも実はおかしな話で(NHKでさえもヒズボラの無人偵察機の取材を行っていました)、偵察衛星情報(米国からのも含めて)や人的情報からも確認はされていたはずなのです。
 
 しかし、IDFの地上からの砲撃にしても空爆にしても間接射撃であったり、ピンポイント爆撃であったり(IDF側の発表ではありますが)と、純軍事的に見るとそう大して効果が上がったとは思えない方法しか採用していない。
 
 つまり、イラクの旧フセイン”体制”のように「崩壊させるべく巨視的な(攻撃)目標」というのがレバノン南部には存在していないのにも関わらず、ヒズボラ殲滅という”統一”的なテーマを掲げてしまったことに今回の戦闘の結末としてイスラエル側が割りを喰う背景が存在していたことになるのです。
 
 そうすると、ナスララの「これ程の戦闘になるとは思わなかった」発言は「誤解した又は誤認した」という意味等全く持っていないことになるのです、このセリフの言外にあることは
中東地域最強(っと評される)のIDFと約1ヵ月半に渡って遣り合えることになる程自分達に力があった
ことを述べているに過ぎない訳です・・・・・ナスララもシリアやイランの情報部等から、現状ではイスラエル側が限定攻撃しか仕掛けてこないことを知らされていたことは先ず間違いが無いはすですから、いわゆる「IDFに関する風評」を利用したに過ぎない発言であると考えられます。
 
 これが”もしも”イスラエル側が、いわゆるアラブ式の最も分かり易い価値観である「ジェノサイド型の攻撃」を仕掛けていたならば、兵士の拉致がキッカケで中東地域最強のIDFが”本気で”殲滅型攻撃を仕掛けてくることは思ってもいなかった、の文字通りの意味になるでしょうが
初手の段階で、徹底的な無差別爆撃も散水型砲撃もせずに地上軍の進攻を早急にイスラエル側が実行したことで、自分達には生存の危機は訪れないことを確信した(事前情報を確認したとも言える)。
 
 ヒズボラが統治している地域の非戦闘員でさえもヒズボラの戦闘部隊員が誰なのかが不明確な状態で、イスラエル領内へのロケット弾攻撃を無効に出来るだけの緩衝地帯を作り出す為には・・・・
それこそ、無慈悲に、中東地域最強を証明するだけの圧倒的で無差別な攻撃を加えて全てを破壊し尽くさない限り無理な話だった・・・・
 
 実は、こうした効果を得ることが出来る通常兵器等は存在していないのです(集束爆弾であれ気化爆弾であれです)、もしもそうした効果を通常兵器で達成しようとするならば、イスラエルの全GDPを使用する覚悟で大量の通常兵器を備蓄していないとならないでしょうし
その全備蓄兵器を消費する位の覚悟も必要だった・・・っと考えられます(戦術核を使用するなら、話は又違うでしょうが・・・・)
 
 (前ログにMikeさんからコメントを頂いていますが)いわゆる”倍返し”的な反撃を~・・・という趣旨の行動をイスラエル政府もIDFも採用することが果たして出来るのか?は非常に疑問がある訳です。
 
 その例としてIDFのDoctrineを参照して下さい・・・・
 確かに、イランのアフマディネジャドもハマスもヒズボラも「イスラエルの抹消」を声高に叫び、党是にも採用はしていますので、言葉としての表層的なモノからは「生存の危機」に晒されているのはイスラエル自身ではあるのですが、当のイスラエルがIDFさえもそのDoctrineとして掲げる
自由・民主主義と法治制度にシビリアンコントロールを”捨て去り”、イラン、ハマス、ヒズボラと同様の主義を採用して相互否定主義に陥ることが本当にIDF自体も得策であると認識しているのでしょうか?
 
 ロケット弾を150発打ち込まれたから300発の砲弾を打ち込む?徹底した無差別攻撃で無人の緩衝地帯を作り出す?・・・軍事作戦が政治から独立して行われるものでは決して無いことをIDFのDoctrineも冒頭で明言しているにも関わらずです・・・・
 
 イスラエルがその軍事行動の目的とする「ヒズボラの殲滅(無力化)」や「ハマスの殲滅(無力化)」の肝心のヒズボラもハマスもその実態は確固たるモノを何一つ未だに持ち合わせていない(組織の不透明さはイスラエルからの暗殺を恐れて、っという理由もあるでしょうが)
 
 つまり、具体的にどうすることがヒズボラやハマスのテロ行為を無くする事なのか?が明確になっていない状況でイスラエル(IDF)は何を攻撃していることになるのでしょうか?
 
 今回の地上戦に召集された予備役の兵士が「ヒズボラが何処から攻撃してくるのか全く予想出来ない戦闘だった」っという感想をクローズアップ現代の中でも語っている訳ですが、この兵士が指している「ヒズボラ」とはその地域に住む非戦闘員(一般市民)さえ
識別出来ない存在であって「彼がヒズボラ民兵だ!」と特定出来ない・・・・・しかし、IDFは主権国家の正式な軍隊であって制服も徽章も付けている
 
 「同種の反撃」・・・・・この概念が現代では一般的な訳ですが、であるならば(兵士の拉致事件に対するこれ迄のイスラエルの反応も含めて)今回のイスラエル側の反応はどうしても過剰反応だ、と評されてしまう。
 
 限定戦闘は限定であるが故に対テロ戦闘には限界が存在してしまい、挑発と報復の応酬という相互否定主義の悪循環から脱却出来ない・・・・(お断りしておきますが、防衛の為の反撃を否定するモノでは決してありません)が
イスラエルの「徹底した武力攻撃」を認めてしまうような流れは、逆にイスラエル自身を危機に陥れる以外の何物でもない!ことだけは確かだと考えるのですが・・・
 
 
2006/6/22

defense in depth:縦深防御・・・・

 まぁ~何を今更・・・っと感じるタイトルなんですが。。。テポドンの件があるので、ちょっと。
 
 縦深防御(defense in depth)ってのは、まぁ~簡単に言うと「段階的に複数の防御方法をベストマッチングで備える」・・・と言うことですかね、はい。
 
 この概念は、特別に新しいモノじゃないんですが(日露戦争当時からあったんじゃないかな?)現代のマーケティング概念が軍事概念から導入されているのと同じように
ITセキュリィティ部門でも盛んに使用されているみたいですね・・・・
 
 関連した資料を先ずは

弾道ミサイル防衛
デービッド・マーチン
米国ミサイル防衛戦略関係担当副長官(在日米国大使館:日本語訳)
 
BALLISTIC MISSILE DEFENSE
By David Martin
Deputy for Strategic Relations, U.S. Missile Defense Agency(原文)
 
 
U.S.Military
"defense in depth"
 
 

 
 まぁ、内容はともかく、このミサイル防衛(MD)の場合は、相手のミサイルに対して3段階の防御方法を採用しよう、ってことのようですが・・・
 結構、難しい問題が各Phaseには存在していて、具体的にはそうした問題をどう解決するのか?はそうそう、明確にはなっていないっと思いますね。
 
 例えば、Boost phase(発射されて上昇中の段階)での撃破・・・では防御側の戦略性が薄くなってしまう、つまり、非常に戦術的な攻撃になる(確率が高い)
現状でこの役割を担える兵器ってのは”巡航ミサイル”位かなぁ?又は、接近した艦船からのSM等による攻撃・・・この段階が最も目標物が大きいんで、撃破しやすいんですが
妥当なモノが未だに開発されていない・・・・スタンドオフという前提条件が厳しいですね。
 
 Mid course Phase(慣性飛行中の段階)での撃破・・・実験なんかではこの段階を中心にしているようですが、テポドンでも多段式のミサイルなんで
ターゲットは高速で相当に小さくなっている・・・ってことは此処でもやはりスタンドオフ(長距離)という命題の為に正確な補足が可能か否か・・・が厳しい。
 
 Terminal phase(再突入段階)での撃破・・・超高速(ライフル弾の数十倍の速さ)で落下してくるターゲットを如何に撃破するのか?・・・ですが、迎撃ミサイルを
ターゲットに”衝突させる”・・・なんて芸当は先ず出来ないんで、上手くターゲットを破壊出来る範囲内で爆発させなくてはならない・・・・んですが何せ速いっ!
(場合によっては、爆発の燃焼スピードよりも速い訳ですから・・・タイミングを計るのが非常に厄介な訳です、何せ、相手もコッチも高速で飛行しているんで・・・)
 
 ・・っとまぁ、なかなか一筋縄では行きそうにもないんですが、何もしないよりはした方がいいだろう!ってことでしょうか(議会対策ってなことも視野に入れるとですが)
 
 苺さんには、問題点を書いたりすると敵に侮られる(はは)なんてお叱りを受けるかも知れませんが、この程度の情報は米軍も、マスコミも(苦笑)公開している内容ですし
日本の外務省や防衛庁の資料でも「検討中」、「開発中」等とされている(つまり、実戦配備の段階に至っていない、ってことで)。
 
 米軍は現在のAges systemでも対応可能だ!っとしているようですけどね、はい。
 
 実際は、安保理に持ち込んで・・・厳しい経済封鎖を決議する(武力での攻撃は???どうでしょうかね?)・・・この辺りが北朝鮮への対策としては妥当な所でしょうか
 
 因みに、日本がもしも、そうしたMD systemを配備したとして「発射出来るか?」ってな話もありますが、前ログでも書いたんですが
”何処に着弾するか/したか”によって対応は違うと思いますね・・・・テポドンよりはノドンですか、この場合は。
 
 日本列島を飛び越える(又は届かない)ような軌道であれば・・・発射しないでしょう、多分。
 
 それに、何です、直接相手の国土に対する攻撃ではないですからね、このMDは・・・っと言う意識からも日本はこの構想に乗ったんじゃないでしょうか?
2006/6/21

What is counterterrorism?:何に対する備え?

 Counterterrorism・・・・ってのは意外と何だか分からないですよね??
 
 街中に”監視カメラ”を付けまくって・・・・何を監視するんでしょう?
テロリスト”らしき”挙動不審(?)な人物を逸早く発見する為?・・・・これはロンドンでの同時爆発テロで未然に予防することが如何に困難なことかは実証済みな訳で。。。
(事発生後の犯人:らしき:人物、集団の特定は出来るようですけどね)
 
 公共の場所にあるゴミ箱を”透明”にすること?不審物を発見したら即座に知らせること?航空機に搭乗する際に靴まで脱がせてボディーチェックをすること?
いわゆる共謀罪等で国際犯罪組織を”事前に”逮捕すること?警察権限を強化して職務質問等や逮捕拘留の範囲を広げること?・・・・・
 
 っと、まぁ、個々にはそれなりの効果(?)も上がるんでしょうが、意外とそれぞれの行為が目指している、っと言うか目的が曖昧なんですよ。
 
 軍事的な面で見ても・・・特殊部隊だとか武装警察なんかってのも、テロ行為を根絶するとか、テロリストを殲滅する・・・程の強い効果を実は持っていない。
(ピンポイントですからね、こうした組織の行動はどうしても・・・・ターゲットを特定するだけでも大変ですから、なかなか)
 
 軍隊(軍事組織)による治安維持活動も・・・現在のイラクがそうであるように、絶対的な効果ってのはそう期待出来るものじゃない。
 
 戦争・・・ってな大規模な戦闘では、兵站の問題が解決されていれば、攻撃する側よりも防御する側の方が有利なんですけど・・・・
(攻撃側が優位になるように、先進国の軍隊では、夜間攻撃等でのアドバンスを出す為に様々な暗視装置等が開発されたり、偵察技術の向上等が図られたり、
射程の長い兵器や、様々な障害物に対する貫通力を増した兵器の開発が行われている訳ですが)
 
 対テロのように非対称戦の場合、先ず第一に
  • 何処を(誰を)何から防御したら良いのか?が分からない。
  • 攻撃側のタイミング、規模、内容等を事前に知ることが出来ない。
ってなハンディが最初から存在している。
 
 こうした状況では・・・米国海兵隊のリコン(強襲偵察)なんてのも実は出来ない。
なぜなら、
  • 戦闘地帯が特定されていない。
  • 目標となる地域又は基地等が特定されていない。
  • 集約させるべき敵が存在しない。
等がテロが発生する一般的な条件であるからですね。

Memo:
 
 ちなみに、このForece Reconってのは、早い話が”囮になって敵を誘き出す”ことが根本的な目的ですから”強行又は強襲偵察”ってな日本語訳が付いてますが、これも
少人数(部隊等の大人数では無い)っという意味で、偵察っと言ってるだけで・・・自軍本体の進路等に障害となる敵が潜んでいたりする可能性を削減させたり
散開している敵を囮に集約させることで、爆撃、砲撃等によって殲滅することを目的としている。
 
 歩兵部隊を狙撃部隊ってな日本語訳が付くのも、その歩兵がライフルを所持しているからで
別に全員がスコープが付いた狙撃銃を持っている訳じゃないのと・・・似たようなことですが。

 
 特に、上記の「戦闘地域が特定されていない」と「集約させべき敵が存在しない」ってことが、この非対称戦の問題を難しくしている。
 
 つまり、テロが発生する場所は、極々日常的な場所で発生するのであって、例え、何らかの方法で敵を集約出来たとしても、その集約点に向かって空爆や砲撃を加えることが出来ないですし、
爆弾テロのように、爆発した時点で既に当事者が現場に居ないことが多いので、集約させること自体が無意味でもある訳です。
 
 かと言って、いわゆる貧困対策的な、長期の攻囲戦の変形みたいなことだけでは、埒が明かない訳で・・・
 
 更に、先制攻撃・・・・と言うのも今回のイラクの状況が明らかなように、政権を打倒した程度では何も終わらない訳です。
(誤解を恐れずに書きますと:苦笑:軍隊が勝利する、ってことは相手が:かっての日本のように:無条件降伏するか殲滅されてしまうか、しか無いんですけどね・・・現代であっても
政治的な降伏・・・ってな場合は現場では「まぁ~勝ったんじゃないの?」ってな状況にしかなっていないでしょうね・・・多分)
 
 一旦、軍事組織を動かしてしまうと・・・・なかなかそれを終結させることは難しい、特に事態が非対象戦になればなる程。
2006/6/20

An idle talk:LandWarrior needs CQC?

 まぁ~ホントにどうでもいい話なんですが。。。(ははは)
 
LandWarrior-Projectってのが米軍で進んでいるそうなんですけどね・・・
 
 いわゆる、ウェアラブルコンピュータやらのIT技術を駆使した次世代の陸軍地上部隊の兵員装備ってなことらしいんですが・・・・
 
 どの程度迄、開発が進んでいるのかは定かじゃありませんが、プロトタイプの画像(下段に添付)を見る限りでは何やら大変そうです。
 
 一番、訳の分からんのは、Bayonet(銃剣?ナイフ?)を装着しているコトっすよね???
確かに非対称戦闘が多くなると、CQC(Close Quarters Combat)が多発することにもなるんでしょうけど、着剣したCQC・・・ってのはどうも頂けない(笑)
 
 着剣でのCQCを想定している訳ではなくて、”せっかく”支給されるナイフなんだから、着剣出来るようにしておこうじゃないの!・・ってな発想だとしても、勘弁して貰いたいなぁ
どうも、陸軍(海兵隊もかな?)ってのは”肉弾相打つ白兵戦”・・・みたいなもんに誇りを感じてしまう節が相変わらず感じられてしまう。
(英国軍がフォークランドでやらかした白兵戦ってのは、それこそ英国の歴史的な背景もあるんでしょうけど:マニュアルがねぇ、結構古いから英国軍は・・・
湾岸戦争時点でさえも、英国空軍が最も損害が大きかった・・・何せ、この時代に低空進入爆撃なんてのを実際にやらかした訳で・・・終結後ですね、空軍のマニュアルを漸く変更したのは)
 
 多分、陸軍の”思想”みたいなモンが影響しているでしょうね、試作品を作る側も採用されたい一心で(笑)陸軍思想の反映だぁ!ってな勢いだったのか(ヤレヤレ)
 
 大体、画像ではある種、精密射撃が可能な雰囲気を打ち出しているにも関わらず着剣してるなんて、矛盾した話なんですよ・・・
家屋進入する隊員さえも着剣してますから・・・これはもぉ~どうしたいんだぁ?です。
 
 白兵戦っと言うか歩兵の突撃が大好きだった(?)とか言う旧日本陸軍でさえも、実は銃剣突撃ってのを本当は余り重視していなかった・・・とか
(せっかく、一歩兵に迄小銃を支給してたんです、何を好き好んで銃剣突撃なんぞをする必要があるのか?ってなこともあるでしょうし武士出身者でもない
徴兵制度で兵士になった人間に刃物使った乱戦をしろ!ってな話が土台無理な話な訳で・・・)
 
 最終的に白兵戦(歩兵による突撃)を行え!っと言う方針が恒常化する理由には、武器の精度が欧米に比べて悪いせいではなくて、
銃弾、砲弾の量を十分に確保出来ないが故の苦肉の策だった・・・っというのが本当だそうですが。。。
 
 まぁ~いずれにせよ・・・陸軍ってのは、最終的には生身の歩兵による戦闘・・・という状況を回避することが出来ない訳ですよ。
(兵員装甲輸送車etcなんてのあってもねぇ・・・最後は全身を曝け出す行動をするしかないんで)
 
 現在のイラク情勢・・・なんかで、米軍撤退の議論やニュース報道の中に駐留米兵の中に「大儀を見出せない(見付けられない)」みたいなことがしばしば出て来ますが
これも、ちょっと冷静になって考えると可笑しな話でしてね・・・・つまり、イラクに駐留している米軍は自国の防衛的な”何かを護る為に”イラクに攻撃を仕掛けて駐留している訳じゃない。
 
 自由と民主主義の達成の為にとか言うテーマだけですからね・・・端っから具体的に目に見える大儀なり目的なんかが成立していないのは承知の上です。
スンニ派に抑圧されていたシーア派を開放・・・・・って、アレ?シーア派を助けちゃう、ってことはイランはシーア派だよねぇ・・・???サウジはスンニ派だし。。。ぅう~~ん
 
 奇奇怪怪ですね、国際政治ってのは・・・ホント
 
 因みに、軍事組織ってのは”完全に”政治の道具としてのみ存在しうるモンです。
なぜなら、もしも軍事組織が政治と切り離された存在だったりすると・・・・文民統制の根幹が崩壊してしまうからに他ならないばかりか怖いでしょ?
 勝手に作戦立てて勝手に作戦行動を行える存在・・・なんかに軍事組織がなってしまったら・・・
 
自衛隊格闘術(Wikipedia)ってのがあるそうです。
 
 
参考迄に