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日志


2006/10/6

A share of peace:Choice of Interdependence community or Autonomous community?

 日本外交の新しい局面がスタートするのでしょうか・・・・?フィリピン、ミンダナオ島Mindanao)のいわゆる(準)紛争地域に専門要員が派遣されたっというニュースが伝わって来ています(日本の報道では見つけられませんが:06/10現在)
 外務省とJICAのニュースリリースからの引用です(外務省は麻生外務大臣のページから)。

 
 国際協力機構(JICA)の緒方貞子理事長は、9月17日(日)から21日(木)までフィリピンを訪問する。
 
 本年は日比国交正常化50周年。日本は、これまで有償資金協力、無償資金協力を通じ、電力、道路、通信、上水などインフラ部門や教育分野などに協力してきており、技術協力ではこれらの案件の調査をはじめ、農業分野、保健医療分野などを中心とした人づくりに貢献してきた。
 
 今次訪問では、ODAによる協力の成果を確認するとともに、雇用機会の創出を通じた経済成長の促進、貧困削減、また、ミンダナオにおける平和と安定の実現など、今後の支援策に関して政府要人等との会談を行う。
 
 特にミンダナオについては、和平プロセスの進展及び治安改善のもと、「人間の安全保障」の枠組みを取り入れ、開発、復興を実現するため、現地における多様な関係者との会談や、関連セミナーの開催を通じ、協力の強化を検討する。
 
フィリピン訪問の主な日程(予定)
 
9月18日(月)
・要人との面談
・マニラからコタバト(ミンダナオ島)に移動
・NGOとの連携プロジェクト視察
・ミンダナオにおける和平プロセス関係者との面談
 
9月19日(火)
・NGOとの連携プロジェクト視察
・ミンダナオにおける和平プロセス関係者との面談
・コタバトからマニラに移動
・現地人道支援NGOの設立25周年式典参加
 
9月20日(水)マニラ
・政府要人との会談(調整中)
・「ミンダナオの平和、開発と人間の安全保障セミナー」(大使館・JICA事務所主催)での基調講演
 
9月21日(木)マニラ
・外国人特派員協会主催記者会見
 
 
 日比(フィリピン)国交正常化50周年を記念する「日比友好の日」にマニラを訪れている麻生太郎外務大臣は、7月23日、グロリア・マカパガル・アロヨ大統領及びアルベルト・ロムロ外務長官とそれぞれ会談した。
会談の中で、麻生大臣は、ミンダナオにおける国際モニタリング・チーム(IMT)への日本人開発専門家の派遣を主要な柱とする、我が国のミンダナオ和平プロセスに対する新たな貢献策について伝え、これらの取組を通じて、長らく紛争に苦しんできた元紛争地域の人々を支援し、
ミンダナオにおける恒久和平を実現すべく、今後積極的に和平プロセスに貢献していきたいとの考え方を伝えた。(フィリピン側からは、日本がミンダナオの和平プロセスにおいて、より積極的な役割を果たすことを歓迎するとともに、日本の今回の決定に感謝する旨表明があった。)
 
 1. IMTへの開発専門家の派遣
 
 ミンダナオにおいては、2003年7月にフィリピン政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)との間で停戦協定が締結されたことを受け、2004年10月より、マレーシア、ブルネイ、リビアからなる国際モニタリング・チーム(International Monitoring Team : IMT)が展開し、
元紛争地域の治安状況は大きく改善してきている。そうした中、フィリピン政府及びMILFから、IMTの「停戦モニタリング」と並んでもう一つの重要な柱である「復興・経済開発のモニタリング」部門において主導的な役割を担える専門家を派遣して欲しい旨要請があった。
 
 今回、日本政府はこの要請に応え、開発専門家を在フィリピン日本大使館員として発令し、IMTに派遣することを決定したものである。
右専門家は、IMT本部のあるコタバトを活動の拠点とし、MILF元紛争地域の復興・経済開発の状況をモニターすることに加え、同地域の包括的経済開発計画の策定及びその実施に関与すること等が期待されている。
 
 2 .「ミンダナオ・タスクフォース」の立ち上げ
 
 日本政府は、IMTに派遣される専門家が円滑にその任務を果たせるよう全面的に支援すべく、在マニラの日本大使館、JICA、JBICから構成されるミンダナオ・タスクフォースを立ち上げる。
同タスクフォースは、和平プロセス担当大統領顧問室(OPAPP)及びバンサモロ開発庁(BDA:MILFの復興・開発の実施担当機関)等と緊密に連携しつつ、IMTに派遣される要員とともに、MILF元紛争地域の開発計画を策定する他、我が国の「草の根・人間の安全保障無償資金協力案件」、
一般無償資金協力案件、技術協力案件、円借款案件が、ミンダナオ全体の和平構築に資するような形で、一層効果的に実施されるよう調整すること等を主な任務とする。
 
 3. 中部ミンダナオへの「草の根・人間の安全保障無償資金協力」の集中実施
 
 上記タスクフォースの事業の一環として、中部ミンダナオ(MILF元紛争地域)において、学校教室、職業訓練施設、給水システム、保健所の建設など、草の根の人々が直接裨益し、平和の配当を実感出来るような地域開発事業に対する「草の根・人間の安全保障無償資金協力」を
今後1年間に10件以上を目標として、集中的に実施していくことを決定した。右決定に先立ち、本年6月、在マニラの日本大使館は、調査団をコタバトに派遣して、「草の根・人間の安全保障無償資金協力」の説明会を実施し、現在、OPAPP及びBDAと協力しつつ、
中部ミンダナオ地域のNGO、学校等を対象に案件形成の作業を進めているところである。なお、反政府勢力であるMILFの復興・開発の実施担当機関であるBDAと連携して、最終和平合意が締結される前に、「平和の配当」が実感出来るような支援を行うというのは、他国に先駆けて日本が初めてであり、
極めて画期的なものと言える。
 
(参考)
 
 国際モニタリング・チーム(IMT)
 
 隊員は約60名。本部はコタバトに、5つの支部はコタバト、イリガン、サンボアンガ、ジェネラル・サントス、ダバオに置かれており、ミンダナオ全21州のうち、14州を管轄している。
 
 我が国の「草の根・人間の安全保障無償資金協力」
 
 1989年にスタートした「草の根・人間の安全保障無償資金協力」については、現在まで比全体で367件が実施されており、その約3割にあたる110件が、ミンダナオで実施されている。
 
 BDAに対する支援
 
 JICAは本年7月より、BDAに対して、「ミンダナオ和平構築を目的としたキャパシティ・ビルディング・プログラム」をOPAPPと協力しつつ開始したところである。

 
 特に注目したいのは、外務省の
1. IMTへの開発専門家の派遣
 
 ミンダナオにおいては、2003年7月にフィリピン政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)との間で停戦協定が締結されたことを受け、2004年10月より、マレーシア、ブルネイ、リビアからなる国際モニタリング・チーム(International Monitoring Team : IMT)が展開し、
元紛争地域の治安状況は大きく改善してきている。そうした中、フィリピン政府及びMILFから、IMTの「停戦モニタリング」と並んでもう一つの重要な柱である「復興・経済開発のモニタリング」部門において主導的な役割を担える専門家を派遣して欲しい旨要請があった。
 この部分(JICAのニュースリリースは、ちょっと慎重なニュアンスになっていますが・・・)。
 
 フィリピン、ミンダナオの例に限らず、こうした第三世界での復興支援に於いて重要なのは、単なる停戦監視等の”傍観者的”な存在と同時に
平和(和平)の積み重ねがその地域(人々)にどういった具体的な平和の分け前としての経済的効果をもたらすのか?を直接支援する存在
も重要になることは間違いがありません。
 
 これ迄何度もこのブログで書いているように、停戦(終戦)、(暫定的であっても)和平実現(平和の回復)が成された”後”、その地域と住民の生活が紛争前と紛争後でどう具体的に変化するのか?を(地域)行政政策として示さないことには、暫定的に固定化した状況が
いとも簡単に流動化してしまうのは、現在のパレスチナ、イラク、アフガニスタン情勢からも明らかです。
 
 しかし、残念なことに「紛争/戦争/内戦」が発生する理由は、その当時の政治・行政体制に対する反発からであり、紛争中は一切の政治・行政機能が停止するか崩壊している為に、新政治・行政体制の確立を目指してそうした紛争が始められたにも関わらず紛争”後”
(停戦協定が結ばれ等の後)現体制側は行政システムを再建する為の行政官(専門技官は元々存在しないので)を派遣することを嫌がり(自ら派遣を希望する中央の行政官もいないでしょうが/現在のインドネシア、バンダアチェがその典型です)
反体制側には(大方の反体制勢力の名称が示す通りに)その地域全体の政治・行政を運営可能な行政官等いようはずがないので、本来彼らが望んでいたはずの政治・行政システムを自力で実現出来ない・・・という状況が生まれてしまいます。
 
 特に問題になるのは、反体制運動が発生する地域の多くは、元々中央からの遠隔地(僻地)で貧困下位層が集中する地域である為に、社会的な構造自体が非自立的且非自律的ないわゆる前近代的な相互依存型コミュニティの場合が多く
住民の意識としては”非統治者:為政者、行政官から管理される立場という意識”が強いので、自治権が大幅に認められたにせよ、旧体制から新体制に代わったにせよその新体制にほぼ全てを依存する姿勢からの早急な脱却(武力闘争で旧体制を崩壊させたような)が非常に難しいことです。
 
 こうした相互依存体質が強い場合・・・・紛争中の多過ぎず少な過ぎない参加費的な金銭の支給は:ハマス、ヒズボラはこの方法を採用して支持を広げて来た訳ですが:その地域の一般住民に自立した生活:経済活動:を自律的に行わせるのは少な過ぎ
反体制武力組織に協力する”だけ”にしては多過ぎる(裏切って逃走するには少な過ぎ、過酷な農作業をしないでも生活するにはちょっと多い)ことから、紛争前の脆弱な経済基盤が紛争中にはほぼ完全に瓦解してしまっています。
 
 つまり、拡大された自治権を有効に運用する為の原資の確保を可能にする地元経済をどのように復興支援するか?という複眼的な視野と知識と技術を持った要員の派遣と積極的な介入が必要になるのです。
 
 なぜなら、紛争以前にその地域に既存していた経済活動では、自給自足か近所のいちば(市場)で余剰品を売るのが精一杯な品質と量しか確保出来ていないはずなので、僅かばかりの収入の中から自治区運用に必要な税金を徴収するレベルには到底達していないことから
安定した収入確保の方法を全くゼロの状態から育成し始めなくてはならない。
 
 先進国の人達がよく誤解するのは・・・民族工芸品的な商材があるのではないか?!・・っというものですが、そうした工芸品が育つ環境は文化を創造する側(統治者側)にあって始めて可能であり非統治者側には工芸品なるモノを可能にする文化自体が存在していないからに他なりません。
(機織、刺繍、木工品、竹細工等といった物産品はあることはありますが、商材として成立するだけの品質も量も確保は出来ませんしそれ以上にそうした物産品の云われ:来歴:自体が成立していない場合がほとんどなのです:簡単に言うと暇だからやっていただけの話)
 
 本来、平和になった又は平和を積み上げることで得られるモノが明確になる為には・・・紛争中にはやりたいことも出来ないか我慢していたが紛争終結後にはそうしたモノが”自由”に出来るようになる・・・っといった背景が存在していなくてはならないのですが
言われて(命令されて)やっていただけか、昔からやっているからやっているだけのの環境が長かった場合・・・・自らが望むもの、望んでいたモノのほぼ全ては家電製品、車、電話、電気等といった非常に分かり易い(即物的なでもいいですが)”モノ”でしかない為にそうした物品が
  • 自らの又はそのコミュニティ共同で行われる”自由な”経済活動の結果として得られる
  • 何をするかは個人又はそのコミュニティが”自由に”選択し実施出来る
という理屈は、住民、地域共に一度も経験したことのない未知の理屈でしかないことになってしまいます(誰もその選択と決断の仕方知らない、ということです)。
 
 そうは言っても、今回、日本が実施しようとする支援は(やらないよりも又これ迄よりも)数段進んだ支援となることは間違いがないと信じます。
 
 ただ、惜しむらくなのは・・・・当事者同士の停戦協定が成立”後”であることです・・・。
 
 今後の積極的で戦略的な日本外交に期待するのはイラク、アフガンのような紛争地域で
第三者が強制的(軍事力的)に停戦を実現し、その軍事力の監視下に於いてミンダナオのような支援活動を開始出来る能力
を可能にしてほしい・・・ということですが。。。。
 
(参考リンク)
 
モロ民族解放戦線:Moro National Liberation Front (MNLF)
 
新人民軍(New Peoples Army, NPA)
 
財団法人 国際開発高等教育機構 The Foundation for Advanced Studies on International Development (FASID)
 
 
2006/9/11

Economic Partnership Agreement/EPA:人的支援策(私案)

 フィリピンとの間でEconomic Partnership Agreement/EPAに関する協定が結ばれたようですので・・・

【ヘルシンキ竹島一登】
 
 小泉純一郎首相は9日午後(日本時間同日夜)、宿泊先のホテルでフィリピンのアロヨ大統領と会談、経済連携協定(EPA)に署名した。EPA締結はシンガポール、メキシコ、マレーシアに次ぎ4カ国目。
フィリピン人の看護師や介護士を一定条件で受け入れることを盛り込んだのが特徴で、労働市場の一部開放に踏み切る。臨時国会で承認を得て、07年の発効を目指す。
 
 協定によると、フィリピン人の看護師と介護士に対し、日本の国家資格を取得するための就労をそれぞれ3年と4年を上限に許可。取得した場合は引き続き就労を認める。日本で介護福祉士の資格を取得する制度も創設する。
ただ、受け入れ人数などは掲げておらず、人材の移動の規模は今後の運用次第だという。
 
 貿易面では、フィリピン側が自動車部品や電気・電子製品などほぼすべての鉱工業品について、日本側もほぼすべての鉱工業品と一部の農林水産品について、関税を撤廃。日本とフィリピン間の貿易総額の約94%が無税化される見通し。
 
 EPAは国家間で投資や貿易の自由化ルールを定め、経済交流の活性化を図るもの。
 
毎日新聞 2006年9月10日 東京朝刊
 
【シンガポール大澤文護】
 
 フィリピン政府は、今後は日本側に一層の労働市場開放を希望する可能性が高い。アロヨ政権は01年の政権発足以来、「雇用創出」を最大の公約としているためだ。
 
 これまでのEPA交渉では、日本が受け入れ人数の制限を提案したため、フィリピンが強く反発したと伝えられた。しかし、実際にはフィリピン人の看護師・介護福祉士に日本語研修と日本の国家資格取得という「高いハードル」(フィリピン政府関係者)が設けられたことに、より大きな不満が示されたという。
 
 フィリピンのエルミタ官房長官は6日の会見で「(英語能力の高い)フィリピン人の看護師や介護士にとって英語圏での就労の方が魅力的だ。文化や言葉の異なる日本での就労希望者はそれほど多くないだろう」と発言した。
しかし、交渉関係筋は「少子・高齢化で日本の家庭内介護は限界に来ている。フィリピン人ホームヘルパーを日本が受け入れれば、双方にとって大きな利益となる」と語る。さらに、家事労働者の日本入国が可能になれば、中東などで働くフィリピン人労働者が日本を目指す可能性もある。
 
毎日新聞 2006年9月10日 東京朝刊

 
 後段の記事にある「高いハードルへの不満」・・・と言うのは、まぁ~「一応は言っておこうか」という範囲のモノですから、別段この発言自体に何か特別な意図がある訳ではないでしょう。
 
 実際、日本は英語が母国語ではありませんし、看護師、介護師という分野(実はそれだけに限らないのですが)は「微妙なニュアンス」を多用しなければならない分野でもありますので、母国語によってそうした微妙なニュアンスのやり取り(コミュニケーション)が不可欠ですから
日本語研修や日本の国家資格取得を志願者に課すのは当たり前の話なので、日本側がフィリピン側に特別難題を突きつけた訳ではない。
 
 実は、ASEAN各国共に災害時の緊急支援等を除き、恒常的に自国内で医療行為を行う外国人には同様の条件を課している訳ですし、実際日本人が多い地域にある現地の病院も「日本語が通じます!」ってのはセールスポイントにもなっている訳で・・・
 
 それと、以前のログで「大相撲の外国人力士」を例に挙げたように、日本国内で行われる主に日本人を対象とした様々な職業に外国人が就労する場合、日本の慣習や制度に従った形での就労は当然のモノなので人権とか閉鎖的だ的な議論は的外れのものだと考えます。
(当然、外国で:先進国、第三世界を問わず:日本人が該当地でのローカルの人間を対象とした様々な職業に就労する場合も同様であるのですが・・・)
 
 このエントリーで話題にするのはこうした外国人労働者の日本への流入を問題にしたいのではなく、その逆、つまり「日本人労働者の外国への進出」についてです(故に日本のODAカテゴリに分類したのですが。。。)
 
 今回調印された共同声明では、EPAですから多岐に渡っていますが僕が注目したいのは実はこの部分なのです。

(i) 人材養成
  • 自然人の移動に関する日本語教育その他の協力(看護師/介護福祉士)
  • フィリピンにおける初等・中等教育の一層の普及と質の改善を含む、教育及び訓練の分野における人材養成
  • 高等教育機関における奨学金に対する協力
  • 女性の社会的・経済的エンパワーメントのための支援を含む能力向上と起業家精神育成のための協力
両国は、上記の内容に加え、以下の協力の可能性について検討する。
  • 研修指導者及び教員の能力向上
  • 政府職員の研修及び交流プログラムの推進
  • 教育分野における行政及び管理の強化のための能力形成
 
(i) Human Resource Development
  • Japanese language training and other cooperation on movement of natural persons (nurses/caregivers)
  • Human resource development in the field of education and training including further diffusion and improvement of quality of elementary and secondary education in the Philippines
  • Cooperation for scholarships in higher educational institutions
  • Cooperation for competency upgrading and entrepreneurship including assistance for social and economic empowerment of women
In addition to the above contents, the two countries will consider the possibility of the following cooperation;
  • Capability enhancement for trainers and teachers
  • Promotion of training and exchange programs for government officials
  • Capacity building to strengthen the administration and management of the education sector

 
 上記の特に「両国は、上記の内容に加え、以下の協力の可能性について検討する。」以下の3点に強い興味を抱くわけです。
 
 このブログでも何度か「日本からの(人的)技術支援を望む」話を書いていますが、ASEAN先進国政府が望んでいる”日本政府”からの(人的)技術支援が民間企業に於ける技術者養成とは違う次元での話しであることは十分に理解していますから(日本政府が
民間企業で働く技術者養成支援が可能だとは思っていない訳です)日本政府が直接的に支援可能な分野、つまり「行政分野での(人的)技術支援」が今後このフィリピンとのEPAに盛り込まれている以上に「具体的な検討」を可能にするのか否かなのです。
 
 ASEANに限らず多くの第三世界諸国が抱える問題として「行政官(専門技官も含めた)の決定的な不足」を何度か上げていますが、実は単に行政官の不足だけではなく「法律の詳細が完備されていない」ことが根本の原因の一つでもあるのですが、
そうした法律の詳細を行政庁(官)が自らつり出すことが出来る支援を日本政府が今後具体的な第三世界への支援策として打ち出せるか?だと考えます。
 
 その為には、いわゆる支援先の優先順位に合わせて「行政官によって構成されたタスクフォース」を編成して、
  1. 法律詳細の作成
  2. その運用方法
  3. 運用に必要なシステム構築
等と言った分野を自らの手で(現地の行政官とOJT形式も含めて)作成し運用出来る段階迄担当し引き渡す支援の実施することに他なりません。
 
 当然、一つの法律でもあっても予算確保の問題やその執行や将来的な改変も視野に入れた適正を持った人員の長期的な確保の問題等が第三世界の実情からして出て来るのは必定なのですが、実際の行政としての具体的な技術分野での問題点として明らかにしない限り
支援先の多くでは、問題解決に必要な事柄の「必要性」自体を現実の行政官も政治家も明確に認識出来る保障がないので、無理やりでも(苦笑)こうした行政支援策を実施して貰いたい。
(多岐に渡った支援そのものが難しいので、より現実的で技術的に制約された分野に限って始めてもその効果は非常に大きなモノになると考えられます、実際、スマトラ沖地震によるTSUNAMI警報システム構築といった分野に於いて
現地の政府発表程にはその整備が進んでいないのは、予算の問題以前に「所轄官庁、担当行政官の責任範囲、システム運用に関する専門知識、自然災害に対する専門知識、関係行政官庁との連携とその責任範囲、関係する諸官庁の予算配分etc、etc」といった
日本では当然のことされるような項目さえも実は全く整備されていない為に、有効で迅速な警報システムの運用方法自体”誰も”イメージ出来ない・・・ことが最大の要因になっているからに他ならないからです・・・ハザードマップ等夢の又夢ですかね。。。。)
 
 このタスクフォースが行う支援は、これ迄の日本政府(行政)の認識では、ほぼ間違いなく「内政干渉」と判断されるような領域に存在しているはずなので、支援先国との間で綿密な打ち合わせが必要で、相手国から
「自分達の行政に足りない~分野、~分野に関しての支援をお願いしたい!」的な要請を引き出すことが出来るか?がポイントになるのですが、これを面子と誇りだけしかない第三世界の役人に自ら言わせるのはちょっと難しい・・・・・
 
 そういう意味ではこうしたEPAでの人的分野での「バーター的な要素」として、行政支援タスクフォースの派遣を支援先に”逆”要請する・・・ってのも一つの手法かも知れないのですが・・・・
実は、そのバーター手法を実現する為には、将来受け入れるであろう「外国人看護師、介護福祉士」等の待遇が「日本人と同等である保障」をしなくてはならないのですが・・・・・つまり、日本人が嫌がる3K職を低給与で外国人に丸投げする意識では成立しないのです。
 
 こうした問題の解決は日本人の雇用環境も実は変革する可能性が出てくる・・・ワークシェアリングが出来ない最大の原因でもある異常な迄の高物価社会と前ログでも触れた田舎でさえも都会と同様の高度に消費社会化してしまった状況では成立しないからなのですが・・・・・
 
 
 
2006/8/22

Strategic ODA like a intervention in domestic affairs:インドが?

 どうも不思議な記事が出ていましたので・・・(相変わらず、他紙には掲載されていないのですが???・・・)
 
 シンガポール発も何ですが、インドの報道によると・・・っと言うだけですから、それこそどういうソースからのモノなのか?は不明ですから如何ともし難いんですが、ちょっと内容的に面白いので、カテゴリーも日本のODAの中取り上げてみました。

【シンガポール21日勝木晃之郎】
 
 スリランカ政府と同国の少数民族タミル人の反政府武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」との戦闘が激化している問題で、内政不干渉を貫いてきた隣国インドが両者の仲裁に乗り出す構えを見せていることが、二十一日までに明らかになった。
インドは、宗教的・民族的に似通ったタミル人によるLTTEに一定の影響力があるとされ、本格的に仲裁に乗り出せば、双方の対話の糸口を見いだすきっかけとなる可能性もある。
 
 インドからの報道によると、インド政府関係者はスリランカ政府に対し、中央政府と地方自治政府の権限を明確に分離する統治手法を示したほか、憲法改正に向け専門家を派遣する用意があることを伝えたもようだ。
自治政府設立を求めるLTTEに対し、多数派シンハラ人主導のスリランカ政府は独立への警戒感を強めており、インドの提案は政府側に譲歩を求める内容といえそうだ。
 
 インドは一九八○年代後半に和平仲介に乗り出し内戦に巻き込まれた経験からスリランカの内戦に不干渉の立場を貫いている。ただ、両者の戦闘が泥沼化し、二○○二年の停戦協定も崩壊寸前の状況。
欧州連合(EU)の停戦監視団が八月末の国外退去を決める中、インドによる仲裁を求める声が国際的に強まっていた。

 
 インド政府がスリランカ政府、LTTE双方に影響力があるのか?(信用されているか?)はかなり疑問がありますので(記事後段で”1980年後半に和平仲介に乗り出し内戦に巻き込まれた~”云々は若干事実誤認があるようですし・・・)
この記事の内容を額面通りには受け取れないのですが、注目すべき点は
インド政府関係者はスリランカ政府に対し、中央政府と地方自治政府の権限を明確に分離する統治手法を示したほか、憲法改正に向け専門家を派遣する用意があることを伝えたもようだ。(斜体赤字筆者)
この部分で、麻生外務大臣が掲げる今後の日本が実施しようとする”戦略的ODA”にとっても(ASEANが本音で望むことにも近似しているので)キーになるのではないか?っと考えられます。
 
 何度もこのブログでも「第三世界の行政官の(決定的な)不足」を書いていますが、記事のこの部分は自由・民主主義先進国が想定するいわゆる三権の確立や法治制度の拡充による内政の安定化と自由・民主主義の浸透に必要な第三世界側が実施しなければならない環境整備
(自由・民主主義化を可能にする”受け皿”の整備)の基本となる部分を表していると考えられる訳です。
 
 先進国では議員は立法権を行政官はその執行権を持つ訳ですが第三世界の場合、政治家(議員)が必ずしも彼ら自身が「立法権を担っている」という認識が一般的ではなく又行政官も議員性、議会制度によってなされた「法律を執行する職責である」と認識されていない為に
未だに人治制度を一掃出来ないでいます。

Memo:
 
 政治家が担う立法権を未だに権力を保持しその権力体系を護る為の第三者に対する懲罰的又は自己、利益共有集団の既得権益保護の為の立法権といった理解の段階から抜け切れていないことが多い為に、いわゆる立法に必要な専門スタッフを抱えていない場合が多く
その結果、唯でさえ超個人主義的な文化背景を持っている為に自己の政治信条等が形成されていない為に、目先の直接的な個人利益等で簡単に政党の離合集散が発生してしまいます(現在のタイ愛国党の状況は正しくこの状態ですね)。
 
 法律の執行を担う行政官は統治者(王様)の代理で”統治者の為の行政を執行する”という昔ながらの役人意識に加えて、前ログでも書いたように行政立法能力にも欠けているか表面的な言葉面の理解と代理者=自分には責任は無い、っとする都合の良い解釈から
法律のフレームは存在してもその詳細が決定されていない場合(数多くある)その詳細に関する具体的な内容の制定には敢えて踏み込まないで(役人らしい利口さ、ですかね)場当たり的執行や解釈を続けるという悪循環に陥ってしまいます。

 
 こうした状況から第三世界が抜け出す為の受け皿(自由・民主主義化を受け入れ定着させる為の)整備に先ず重要なことは
  1. 行政官の質を向上させ、行政立法能力を向上させる
だと考えます。
 
 三権分立を確立する為に先ずその三権分立を否定するかのような”行政立法能力の拡充”を優先することで、法律の正確な執行(誰が担当者になっても変わりなくその法律が同じように施行される)を確立させてしまうことなのです。
 
 例えば、地方自治の確立が簡単に後先考えない分離独立運動に発展してまうのは、中央行政と地方行政の違いやその存在する意味や背景、中央政府と地方政府が持つ権限の違い、税制(収入)、歳出の違い等を明文化していない場合が圧倒的に多く且
平時には中央の政治家、役人の意識は中央政権(都市部)にしか関心を示さないにも関わらず、地方での自治意識が高まると「統治する」という昔ながらの意識だけが突出して簡単に「武力鎮圧(平定)」という方法しか思い浮かばない為、内戦化してしまう訳です
(東ティモールはその最たる例ですね)。
 
 (この報道が正しいとするなら)インドが今回スリランカに対して行おうとしている支援は、まさにその部分に外国政府として手を付けよう!っということになるのです。
 
 しかし、インドが手を付けようとする部分は、余りにも根源的な部分であって、インドのこれ迄のこの地域での(敢えて)悪行からすると、肝心のインドでさえその部分が確立されているのか?は非常に怪しい部分であって、インド自身の妙な思い込みで
スリランカの憲法部分や”分離統治手法”等を弄られてしまうのにはかなりな危惧を禁じえない・・・
簡単に言うと「自分達が未だに不十分な部分を妙な地域大国意識と欧米日本等との関係からの思い上がりで下手な思想主義をスリランカに持ち込むことへの不信感」+「インド人の大言壮語癖」です。
 
 で、此処から今後の日本が行うであろう戦略的支援(ODA)の戦術部分が見えてくると思います。
 
 それは、いわゆる「国連方式」を採用する!・・・これです。
 
 つまり、理念的な領域は一先ず脇に置いておいて「現業的な分野における国内法での立法化」を積極的に支援する・・・これしか無いっ。
 
 例えば、
  • 貿易や企業活動(出資法や会社設立法等から始めて)に関する法律の詳細確立執行支援
  • 租税法、福祉関連法等の詳細確立執行支援
 っと言った主権国家としてその国が自主運営を行う為に必要な”テクニカル”な法律分野の詳細確立と執行方法の確立に全面的な協力を行うことで、行政官の意識改革等をそうした支援例を元に暫時行って行く・・・・ことだと考えます。
 
 すなわち、自国の国内法の詳細やその執行方法に関して行政官が「お手本」とするべきモノを確立することで、担当省庁が所轄する分野でも同じような手法で詳細や執行方法が確立することを手助けする訳です。
(問題はあります、他省庁のお手本を自分達のお手本と該当する省庁の人間が認識出来るか?に加えて、ある分野のお手本が他の分野でもお手本になるんだと1省庁内でも認識出来るか?・・・・っという問題は解決していませんが
・・・・行政官の日本への交流研修等でそうした認識力の向上は基礎的な概念部分の研修という形で補完する、ということで修正可能かも知れませんが、現段階では断言は出来ません)
 
 戦後60年以上、紛争、戦争を自ら起こしたことの無い平和憲法を持った唯一の国「日本」というのであれば、こうした支援方法は当事国自身が絶対に内政干渉だ!っとは認識しないはずではないでしょうか?
 
 更に日本は「政教分離」も実現した国家ですから、戦略的な意図を持ってこの不安定な弧地域に積極的な関与をするのであれば、インドではなくパキスタンを上記のような方法も踏まえて支援すべきだと考えます。
(イラク、アフガンでも同様ですし、東ティモールもです)・・・・
 
 ASEAN先進国が最も日本に臨む「技術的な支援」とは民間企業レベルでの話では決してありません!
行政能力の向上を目的とした『行政領域での技術的な支援』なのです。
 
 ASEANから南アジア地域に掛けて、日本の積極的な支援によって拡充した自由・民主主義・法治国家制度を採用した諸国の存在は・・・・対中国に於いても相当な効果を発揮するのではないでしょうか?
 
 主権国家として自立したくても(例えそれが稚拙で無分別な分離独立運動からであっても)経済的な自立が達成されない限り主権国家としての要件を満たさないばかりかそれを満たす上でも経済的自立を可能にする
法治制度とその公正な執行が確立されていない限り・・・・外資系企業が全ての面で不安定な第三世界に投資をする訳もないのです。
 
 内戦のほとんどの発端は「地域の経済的な格差」からなのは既に自明なはずなのです(結果であって、その格差が生まれる様々な要因も含めて、国内法の詳細が確立されておらず且その執行が恣意的なことであることも既に自明なのですから)
 
 さて、肝心の日本は・・・・アジア地域での日本の存在をどう理解しているのでしょうか?
 
 
 
2006/7/13

Strategic ODA-3:Japan new foreign policy

 こういうニュースが出ていましたので・・
 
猫研究員さんの社会観察記から拝借 
 自由と民主をアジアに拡大・・・っということですが、有償、無償に関わり無くこれ迄日本政府は様々な形での海外支援を”実際に”実行している訳で
実績・・・っという意味からすると確かなモノがある訳ですが、いわゆる(内外からの?)「批判」が絶えないばかりか、安倍さんでも”敢えて”こうしたことを言わざる得ないのはちょっと不思議・・・
 
 ちょっと古い資料ですが・・・(ODAコンサルさんの何でもかんでも良かったぁ~式の報告書はともかく:苦笑)ODA関連の報告書を読むと
「問題点」がかなり”正直に”盛り込まれている(JICA、JETRO等のwebでも同様に現地での問題点をかなり明確に指摘しています)
 
 ですんで、僕らなんかにすると「なぁ~~んだ、ちゃんと分かってるんじゃないっ!」っと思っているんですが。。。。多分、現場で知ることが出来る問題点を解決する為には
本国(日本国内)での様々なハードルを乗り越えなくてはならないんじゃないのかな?・・っと、その報告書を書いた方には若干同情の念を禁じえない所もある(はは)

Data:
 
 
ODA評価報告書(外務省)
 
 
国際協力銀行(Japan Bank for International Cooperation)
*経済協力について(ODA)の項を参照
 
シンポジウム◎食料関連産業と環境―アジアと日本(和光大学)
タイにおける食料関連産業と環境 東北地域の土壌劣化問題を中心に
 
 

 
 こうした、これ迄の日本の実績は、自由と民主をアジア(ASEAN)には広める所迄は至らなかったから、上記のような安倍さんの論文になる、ってことなんでしょうけど
 
 そもそも「戦略的ODA」ってのを現状の日本の制度のままで行うには(多分)様々な意味でバラダイムシフトが必要になるんじゃないかなぁ?っとは思っているんです。
(このカテゴリーでは僕自身も「日本は戦略的なODAを~」っとは書いてはいますが、流石にはっきりとは書いていない:苦笑)
 
 で、このエントリーでは少々(少々です)具体的な事例も含めてお話を展開して行きたいと思います。
 
 先ず、日本の戦略的なODA・・・を中国等が実施しているような「自分達に好意的な政党を支持する形」で行うことは得策ではないことは
このブログで何度も触れているように「第三世界の政治家、政党、政治体制」は思った程に安定要素ではないからです。
(圧倒的多数を誇っていたはずのタクシン政権を見ると理解出来ます)
 
 共産主義政党であっても、その一党独裁制であるが故の不安定さは免れません(日本の銀行家の中にはヴェトナムが投資先として最も有望だといった意見もあるようですが
共産党支配の官僚制度とASEAN先進国(タイ、マレーシア、シンガポール)の官僚制度とは全く異質のモノですから、誰彼構わずヴェトナムに投資すべきだ!
等は僕は暴論の極みだと思いますが)。
 
 そういう意味では、これ迄の日本の支援方法である「相手国からの要請(書)が先ずありき」の姿勢は官僚制度と言う安定要因を経由して来るので問題はないと考えます。
 
 しかし、僕が前ログでも書いたように「要請書の精度の問題」や「現地での継続性」等となると上記の報告書の中でも(最後の方に数行ですが:苦笑)
必ずと言ってよい程に触れられている・・・・
 

 ちょっと乱暴な表現をしますと

日本のODAによって、これ迄問題であった多くの事柄がこのように解決して現在このように生活が向上した

といった成功事例を明確に示すことが戦略的ODAなのだと考えます。

 
 例えば一昨年(だったと思いますが)タイのソムキッド副首相が(突然?)東北地域での大規模灌漑施設計画を打ち上げたのですが・・・
 
 タイの東北地方には元々商業的な農業を行えるだけの良質な土地が少ないのでその地域で農業を営む人達も当然自家消費作物の育成が精一杯な訳です
(アクション映画で有名になったオンバクで主人公の住む村落があるのがその東北地帯です)
 
 つまり、灌漑施設“だけ”を作った所でその施設を維持管理するだけの経済的、農業技術的インフラが全く整備されていないのですから実際は宝の持ち腐れになってしまう可能性が高い。
 
 副首相のアイデアの中には、東北地方全体の地域振興を目指した総合的な開発の一部として“灌漑施設計画”があったのでしょうが、
それを具体化するAction-Planが作成出来ていない(出来る人材が居なかった?)
 
 更に問題だったのは「東北地域“全体”」という構想が大き過ぎた・・・東北地方の中でも更に地域限定を行ったパイロット地域の選定をして
先ずは小規模でも“成功事例”の創出にフォーカスを合わせるべきだった。
 
 なぜなら、経済インフラの整備とは「農業商品を作り出せる様々な環境(市場の要望に合わせた品種改良etc)」、「流通経路の確保」、「利益の再配分の為の組織作り」等
広範囲に渡った施策が必要でその結果として「土地改良計画」、「灌漑施設計画」等が出て来ることになる訳です(ですから灌漑施設計画が先にあること自体がちょっとおかしい)
 
 当然、経済インフラの段階で「市場の要望に合わせた~」からには無計画な乱開発や化学肥料を多用した農法では国内市場(大都市)は言うに及ばず海外市場でも全く通用しない。
(日本が採用した農薬基準をクリアする為の検査体制から始まって日本国内での流通システムに至る迄の対応策が必要になる)
 
 因みに“王室プロジェクト”では抜本的な解決策には残念ながら到達しない、なぜなら王室という存在そのものが完全無比な非営利である為に就業機会の創造は可能でも
経済的にその地域が裕福になる(抜本的な貧困対策)レベルに迄は「事業」そのものを展開出来ないからでもあります
(それに、妙な話ですが、王室プロジェクトで儲ける・・・なんてのはそれこそ不敬の典型になってしまう訳で)
 
 こうした現地の状況を如何にして戦略的なODAで“取り込むのか?”だと思います。
又、何度か書いてますが、現地の人治政治体制を何処まで効果的に利用するか?も必要になります。(前近代的なODA族の跳梁跋扈を許さないような制度が当然必要ですが)
 
 つまり、戦略的ODAとはこれ迄のような中立的な立場での公共財に対する支援・・・という立場から離れて事業性をかなり全面に出した支援の実行になるのではないか?っということです。
 
 こうした政策を可能にするには、いわゆる日本の農業組合等が明確な事業委託先になったり、同等の制度が現地には大方ありますのでそれらを利用する。
 
 又、入札制度の参加資格等の明文化に加えて審査基準等も今以上に明確にする必要があると考えます。
 
 すなわち、営利事業が営めるNPO(農協も実態はそうですが)を正式なODAの事業委託先として契約出来る制度を作り出す。
(草の根支援とは完全にレベルが違います、いわゆる専門家集団の専門的なNPOのことです)
 
 特に、参加資格の明文化の際に「戦略的な意図」をしっかり盛り込む必要がある訳です(個人への利益供与とならないようにするガードも必要です)
 
 第三世界では“神輿に乗る人”も重要ではあるのですが、その神輿を“担ぐ人”如何でその事業の成否が左右されることが往々にしてあります(苦笑)
 
 此処で人選を間違うと、全くの絵に描いた餅になってしまうのですが、人選さえ間違わなければ「小さくても成功事例を作り出す」ことで
  • 日本の支援とは一体どう言う物であるのか
  • 日本の支援を受けると結果的にどういう益を自分達は得ることが出来るのか
を実際の事例として目の当たりすることが出来る訳ですから理屈を捏ねだけのセミナーなんかを乱発するよりは余程効果的です。
 
 そして(此処からが肝心なんですが)、自由と民主主義とは必ずしも社会体制や政治体制等で示さなくても(示されてもそんな状況には関心等ありません)
ODA事業の中で具体的な形として示すことが可能なはずなのです。
 
 例えば、
  • 委託先のNPOや傘下の営利団体(こういった機構が無いと統括的な事業運営が出来ない)の長には現地の人間が就任出来る道を最初から盛り込んでおいたり
  • 組合員への利益配分を常に公正に行ったり(情報開示です)
  • 事業開始当初は日本人(外国人)が主導権を握っていても「努力をすると(これが肝心です)自分達がその事業を引き継げるんだ」っという目的意識を持たせる
 等の理解しやすい事例を元に自由や民主主義という概念を広めて行く・・・
(コネや社会的地位だけで役職者や代表にはなれないんだ・・・っと言うことうぇ認識するだけでも十分な価値がありますし、当然男女雇用均等でなくてはなりません、
日本には自由や民主主義の理念としてではなくその理念に基づいて具体的に法制度化されたモノが存在しているはずなんです、例えそれが肝心の日本国内では慣習的な障害があって
完全な実行不可能であっても、ODA事業を展開するのは日本国内ではない海外なのですから妙なしがらみはないはずなんですが・・・)
 
 草の根的の資金供与でも、マイクロクレジットの扱いで貸し付ける方が良い、っとする意見もありますが、これは抜本的な解決策では絶対にありません、なぜなら
返せる当てがある借入金ならば問題はないですが、借り入れた資金を運用する方法に関して何の支援も無い借り入れは責任以前の問題となるからに他ならないからです。
 
 こうした活動は現在のNGOさんでもそれなりには展開しているんでしょうが、ODAでは幾ら地域限定のパイロット事業であってもその規模や継続期間、
投入人員等は比較にはならないはずです。
 
 こうしてみると、これ迄日本が行って来たODAからすると“かなり”偏ったODAになるのが戦略的なODAだと思います。
 
 故に、色々な意味でのパラダイムシフトが必要になるのではないか?っと思うのですが・・・
2006/6/30

Strategic ODA-2

 イラクから自衛隊が撤収の準備を始めているそうですが・・・関連のこのニュース

 
【サマワ28日共同】
 陸上自衛隊が駐留するイラク南部サマワで28日、日本の復興支援で最大のインフラ整備となる大型火力発電所の起工式が行われた。
発電所の建設は既に始まっており、2007年中に完成の見通しだ。
 
 式典では、外務省サマワ事務所の側島秀展所長が「発電所は2年半に及ぶ日本の復興支援活動の中で最大の事業」とアピール。
陸自の撤退後も、電力不足に苦しむサマワ市民らのために支援を継続するとの姿勢を強調した。
 
 現地ムサンナ州のハッサン知事は「発電所が引き渡される日まで、支援をお願いしたい」と訴えた。
 
(共同通信) - 6月28日22時28分更新

 
 イラク特借法があるから・・・なんでしょうけど、実は戦略ODAってのはこういう方法しか無いんじゃないか?っと思うんですよね。
 
 特借法の中にこういう雑側がある

イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法
(平成十五年八月一日法律第百三十七号)
 
第三章 雑則

(物品の譲渡及び無償貸付け)
第十八条  内閣総理大臣又はその委任を受けた者は、本府又は自衛隊に属する物品(武器を除く。)につき、国際連合等からその活動の用に供するため
当該物品の譲渡又は無償貸付けを求める旨の申出があった場合において、当該活動の円滑な実施に必要であると認めるときは、その所掌事務に支障を生じない限度において、
当該申出に係る物品を当該国際連合等に対し無償若しくは時価よりも低い対価で譲渡し、又は無償で貸し付けることができる。
 
(民間の協力等)
第十九条  内閣総理大臣及び防衛庁長官は、前章の規定による措置によっては対応措置を十分に実施することができないと認めるときは、
関係行政機関の長の協力を得て、物品の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供について国以外の者に協力を求めることができる。
 
2  政府は、前項の規定により協力を求められた国以外の者に対し適正な対価を支払うとともに、その者が当該協力により損失を受けた場合には、
 その損失に関し、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
 
(その他の措置)
第二十条  政府は、前章の規定による措置を実施するほか、イラク特別事態を受けて、国家の速やかな再建を図るためにイラクにおいて行われている国民生活の安定と向上、
民主的な手段による統治組織の設立等に向けたイラクの国民による自主的な努力を支援し、及び促進するよう努めるものとする。

 
 特に”(物品の譲渡及び無償貸付け)”・・・・っというくだり。
 
 あの火力発電所も無償ODAだと思いましたが・・・つまり
何から何迄全て日本側で実施して(建設等の労働力は現地採用ということになるので、いわゆる就業機会の創出でもある)その全てを地元に引き渡してしまう・・・・・
っというやり方な訳です。
 
 紛争状態のイラク”だから”出来た・・・っと言うのではちょっと困るんですが、インドネシア等が津波、地震後にブツブツ文句を言う本音には
自分達の所もイラクと同様なODAを実施してほしい
っというのがあると思うんですね。
 
 タクシン首相が就任時に「日本からの金銭的ODAはタイはもう要らない、ASEAN後進国へ回してくれ!それよりは技術協力をもっと増やして貰いたい」
っと発言した背景も同様でしょう。
 
 円借款型のODAを実施して後から妙な「棒引き論」に押し切られて踏み倒される位なら、初めっから無償援助のスタンスでインフラ整備から
箱物の全てに至る迄を日本側で作り上げて引き渡した方が、ODAを実施することによって得られる利益(国益)ってのは相当に大きいはずなんですよ。
 
 但し、完全に民間委譲が可能になる迄の間、いわゆる「専門型NGO」への積極的な「政府からの業務委託」がなければ雑側にある”(民間の協力等)”には至らない。
 
 なぜなら、JICAも専門的な派遣ボランティアってのを養成はし始めたみたいですが、何せJICAは時間が掛かる(苦笑)
それに申し訳ないですが、一からの「公募」で本当にバリバリの専門家が現職を投げ打ってJICAの公募に応募してくる可能性ってのは・・・・・相当に難しい。
 
 こうした状況を、青年海外協力隊やシニアボランティアで賄うことは、現在の技量では到底不可能なのはJICA自身が一番理解しているはずなんですね。
 
 実際、イラクでも問題はこの後な訳で・・・・全てのインフラ整備や各家庭迄の送電線敷設、変電設備等といった話になると
(ASEANでも、当然他の第三世界でも発生しますが)送電線等を武装強盗からどう護るか等の問題も考えるといきなり民間ボランティアた企業等を
現地入りさせるのはちょっと無理がある。
 
 一旦手を出したなら、最後の最後迄、面倒見て後は潔く全てを引き渡す・・・結果、日本に対す評価は否応無く上がる・・・・
 
 この位の根性がないと戦略的ODAってのは難しいとは思うんですが・・・
 
 
2006/6/13

Strategic ODA

う~~ん、何か勘違いされてトラックバックを付けて頂いたようなんですが。。。???
 
例えば「不透明(感)」っと言う表現一つにしても、援助国側である日本の国内事情と被援助国側である第三世界での事情は同じではないと思うんですね。
 
インドネシア政府(副首相?)のクレーム・・・ってのは前ログでも書いたように、非常に個人的な思惑からのモノが主であって、日本側のシステムが不透明だとか不公平だとか・・・
言うものじゃない、っと思う訳ですが、それをいわゆる”談合”的な官民癒着的な話と同一ではちょっと語れない。
 
先ず原則としてODAは『現地からの要請が先に存在する』訳ですから
現地側に何の事業計画も無しに日本側からの押し売り的にODAを持ち込むなんては起こらない。
 
例えば、用地買収を伴う事業計画を現地が持っていて、その事業に対するODAを行う場合、申請書に基づいて現地調査が行われる。
(前ログでも書いていますが、僕は現地の事業計画の”精度”を問題にしている訳で・・・)
 
当然、用地買収に関わる一連の作業は現地側が行う訳ですが、この用地買収ってのが第三世界では非常にややっこしい。
 
国策で小作人制度を廃止したりして地権者が異常に細分化されていたり、登記簿や謄本の不備から地権者が誰かや何処に居住しているのか?等が
正確に把握出来ない・・・なんてことは茶飯事に発生する。
 
都市部では、公用地だと思っていた場所が(道路も含めて)実は私有地であったり、所轄官庁が住民には全く無断で民間業者に売却して
ある日突然、昨日迄バスさえ通っていた道路も含めて閉鎖されてしまう・・・なんてことも珍しい話じゃない。
 
そうした状況の中で、行政の方は(作られる施設の公共性が高ければ)地権者の集約化を図って纏まった面積の地所を画一的に入手したいと考える。
しかし、第三世界では「個別交渉」っと言うのは地権者同士やその地域に居住する人達を疑心暗鬼にするだけで、下手をすると
紛争のネタやその地域での贈収賄事件迄も引きこす確率が高くなる為に、敬遠される。
 
更に、ピンハネや格差を最小限にする為にも、「その地域の顔役(村長や組合長etc)」を取り纏め役に仕立てて、公開して行った方が安全でもある。
 
但し、そうした非常に複雑な地権者間の取り纏めをする側がその労が叶って纏まった時には、当然その労に報いる為に”謝礼”をするのは・・・・
規模の対象には関係なく日本でも慣習として存在するんじゃないでしょうか?
 
それに如何に第三世界と言えども”謝礼”っと言うのは「成功報酬」であって事前に渡されるモノでは決してない。
事後に受け取れる人間イコール裕福な人間・・・ってことなんですが、そんな立場の人間だから尚更前金なんかじゃ受け取らない
(人徳と言えばそれ迄ですが:笑:インドネシアで前大統領が選挙で負けた最大の理由が、西欧型自由民主主義を早急に導入し過ぎた為に
田舎で徳の低い政治家を商売だと誤解した一般人が立候補当選してしまって、それ迄は成功報酬だった謝礼が前金迄受け取るようになってしまって
多くの国民が昔の方が”未だ良かった”・・・・ってなことになった結果でもあるんですが・・・インドネシアでさえそうなんです!)
 
つまり、そうした謝礼迄も事業計画の中に盛り込まれていても何も不思議でも何でもない。
(因みに、賄賂は絶対悪だ!っという概念は先進国、日本”だけ”の概念であって、第三世界の概念では決してありません)
 
だとするなら、入札価格の99%で落札されることに、基本的な問題はほとんどない・・・とも言える。
事情が分かっている業者程、そうした、いわゆる「損失金」は織り込み済みで入札して来るでしょう。
 
僕が問題にしたいのはシステムの透明性なんかじゃないですね。
(逆に、透明性と言うのであれば、科目の中に「謝礼:1000万円」ってなことを明示するってことですかね?それともそうした謝礼は総額の何%なら容認出来るのでしょうか?)
 
何度も書いていますが、日本のODAの戦略性をどう確立するのか?ってことです。
 
  • ODAを拠出するその被援助国はなぜ決定されたのか?
  • その被援助国はODA(無償、借款に関係なく)を受けることで日本にどういう国益をもたらすのか?
  • 選択された支援内容及び所轄官庁(人も含めて)は日本の国益に見合うだけのモノなのか?
 
等といった事柄が、これ迄のODAのような賠償の贖罪意識なんかで実施されるようりは数段、税金の無駄使いではなくなりますし、世界有数の支援国である
日本に対する評価も”逆に”上昇するのは間違いがない・・・っと考えられます。
 
もう少し簡単に言うと「費用対効果」を客観的に考慮してODAを実施すべきなのです。
 
麻生外務大臣が言う所の
「(ODAは)自分にとって好ましい国際環境を作り、最終的にはより良い国際社会を形成していく為の政治的政策手段であると捉えるべきもの」
っという考え方が絶対に必要な局面に来ているのが現実です。
 
ODAはその原資を税金に頼っている訳ですから、善意の足長おじさん風に何の戦略性も持たずに気前良くばら撒くモノでは絶対にないはずです。
 
更に、支援内容も
  • 途上国の経済建設
  • 貧困削減(撲滅では決してありません)
  • 債務放棄
  • 草の根支援
  • 災害支援
  • 人材育成支援etc
等の戦術面でその被援助国の実情(文化や慣習等も含む)に合わせて多面的にベストミックスを選択して提供出来なければ・・・それこそ従来と何ら変わらない
”継続性の無い箱物支援”に終わってしまうのです。
 
但し、残念なことにこ「戦略性」と言うのは公に出来ない内容なんで、その透明性ってのは低下することになりますが被援助国にとっては
戦術面での透明性が向上することになって、かなり好意的な評価を受けることは間違いがない。
(戦略面の情報を公開してしまうと、それこそ喧嘩になり兼ねない、笑)
 
そんな訳で、現在は以下のような日本政府の動きを期待しながら見てはいるんですが・・・・
 
海外経済協力会議(首相官邸)
 
海外経済協力会議:初会合開く ODA問題で設置

 政府は8日午前、首相官邸で「海外経済協力会議」の初会合を開いた。同会議は各省ばらばらに行われ戦略性や効率面で批判の多い政府開発援助(ODA)を、
官邸主導で一元的に運用するため設置された首相直轄の機関。
 
 議長の小泉純一郎首相のほか、安倍晋三官房長官、麻生太郎外相、谷垣禎一財務相、二階俊博経済産業相の4閣僚で構成される。
ODAの企画立案を統括し、円借款と技術協力の実施機関は国際協力機構(JICA)に統合される。
 
 現在のODA予算は外務、財務など13省庁にまたがり、外務省が中心になって企画立案してきた。
「連携不足で無駄が多い」などの批判が強まったことから、昨年12月から政府の「海外経済協力に関する検討会」が見直しを検討、同会議の設置を提言していた。【中田純平】
 
毎日新聞 2006年5月8日 11時23分
 
 
 政府の「海外経済協力会議」(議長・小泉純一郎首相)の初会合が八日午前、首相官邸で開かれた。同会議は、かねて「タレ流し」と批判が強かった
政府開発援助(ODA)を戦略・効率的に実施するのが狙い。初会合では、ODAの現状について報告を聞いた上で、今後の会議の進め方などを話し合った。
 会議には小泉首相、安倍晋三官房長官、麻生太郎外相、谷垣禎一財務相、二階俊博経済産業相が出席した。会議に先立ち、安倍氏は記者会見で
「ODAについてどのように戦略的な対応をしていくか、世界の理想に向けて、わが国の果たすべき役割などを包括的に議論したい」と述べた。
 同会議は、政府の有識者会議「海外経済協力に関する検討会」(座長・原田明夫前検事総長)が二月にまとめた提言に基づき設置。
いかに縦割り行政の弊害を廃し、ODAの戦略的活用に向けて「司令塔」の役割が果たせるかが焦点となる。
 今後、閣議決定を見合わせている平成十七年度分の中国への円借款供与も、議題になる見通しだ。
(産経新聞) - 5月8日15時24分更新
 
政府開発援助ODA-HP Official Development Assistance
 
 
国際協力プラザ(Plaza for International Cooperation)
外交に関する世論調査(内閣府)
日本のODAの今後のあり方を問う
 
 
腰の据わったODAになるのでしょうか?
2006/6/12

Inside watch ASEAN politics:ODA考-2

前ログ(06/5、トラックバック設定)で書いたインドネシアへのスマトラ沖地震のODAに関して、こんなニュースがあったようなので・・・・

 
 政府がスマトラ沖地震に伴う津波被害の復興のため、インドネシア政府に供与した政府開発援助(ODA)事業で、同国政府から入札をめぐる審査が不透明との指摘を受け、
入札をやり直していたことが12日、分かった。
 
相手国政府からの指摘で再入札をするのは異例で、事業も予定より遅れが出ている。
 外務省によると、この事業は昨年1月に供与されたインドネシア向け津波無償支援146億円のうち、アチェ州西海岸の道路修復事業(約47億円)。
 
 業者選定などは外務省所管の財団法人「日本国際協力システム」(JICS)が請け負っており、昨年7月に事業者の入札が行われ、日本企業を含む4者が申し込んだ。
 しかし、インドネシア政府側から、審査が不透明だなどの批判があり、JICSは同年11月に入札をやり直し、現地企業が落札した。
(共同通信) - 6月12日12時53分更新

 
 インドネシア政府から付けられたクレームの詳細がこの記事だと不明ですが・・・・(苦笑)早い話が、現地企業が入札(受注)出来ないとは何たることかぁ!
ってのが・・・・実態だったんでしょうね。。。。副首相系の企業に受注させたい!ってのがある訳ですから。。。
 
日本側からすると、ODAで拠出した予算を日系企業が入札受注するってことは、資金を取り戻す(必ずしもそうとは言えないんですが)ことになるので
入札の”優先権”みたいなのは(?)日本側にあって当然じゃないの?・・・ってなことにもなるんだとは思いますが・・・
 
 政治家の個人的な思惑は、ちょっと置いておいて(苦笑)、日本のODAの場合前提条件にある「現地からの要請に基づいて」っという姿勢が・・・・少々気に掛かる訳です。
 
いわゆる「書式」ってのがあって、その書式は現地の所轄官庁内で処理されて、現地の日大使館なりに提出されるんですが・・・
(当然、JICA等の出先機関が、その申請書類に基づいて現地の実情等を調査はするんです、はい)
”誰が”その申請書類の元を作ったのか?・・・・にかなり疑問を持っている。
 
 確かに現地調査をすると、申請書類に書かれた何がしかの”施設/設備”が必要なんだろう・・・っという思わせる行政計画等が存在したりする訳ですが
現地行政が作る事業計画・・・・そのものの精度と言うか、信憑性と言うか・・・・・その辺りが非常に怪しいモノが結構ある。
 
例えば、毎年、旱魃の被害に見舞われる地域に「灌漑用水路」を整備する”話”があったとします。
(この整備話を中央政府の大臣が発したのか、それとも地元の行政官が発言したのか、はたまた地元住民の要望が纏まったモノのか?によっても扱いが違うんですが、笑)
 
 確かに、その地域が毎年見舞われる旱魃被害をなんとかするには、人工降雨実験もいいでしょうが、大規模な灌漑設備を整備した方がいいには違いないない・・・
しかし、その大規模整備に掛かる経費に見合うだけの農業なりがその地域で行われている・・・・っという実績は存在しない・・・・
なにせ、毎年旱魃の被害に遭っているので、ロクな農業が長年に渡って出来ていない地域なんですから、そもそもが。。。。
 
んで、灌漑設備が出来たトタンに、高収益作物や農業がアッと言う間にその地域に広がるだけの背景も何も無いのに、そんな魔法のようなことが起こるはずもない。
 
・・・っと言うことは、そうした灌漑設備が出来たとても、その施設を未来に渡って維持管理出来るだけの収益が見込めない可能性が高い・・・・ってなことになる。
(維持管理費をその設備を作った地域が捻出出来ないからと言って、現地行政や政府が何時迄も税金:歳入:から賄う、なんてことも夢の又夢な訳で)
 
・・・だったら、現地の歳入では減価償却の目処が”全く”立たないんなら、外国の資金援助を頼んでしまおうか?・・・・・ってな話に簡単になってしまう(ははは)
 
・・・・・まぁ、相当に金額の張る巨大プロジェクトってのは、8割方大臣の打ち上げ花火に終わってしまって、その後具体的に動き出した、ってな話を聞くことは、ないんですが。。。
(ねぇ、ソムキットさん!、ホント、あの話はどうなったんでしょうかね?)
 
インドネシアの道路整備にしてもですね・・・・日本の土木工事技術を使われてシッカリしたモンが出来上がってしまうと・・・実は現地企業が儲からない(???)
 
どんな公共工事であっても完成して、数週間もしない内に、陥没したり、訳の分からん所に段差が出来たりしてくれないと、補修契約やらに基づいた工事が出来ない・・・
 
コンサルタントさんに任せるのも、いいんですが、やはり、此処辺は・・・・贖罪的な意識は切り離してもっと戦略的にプロジェクトの選定也
業者選定を実施するべき時期に来ているんではないか?っと思うんですけどね
 
参考迄に
2006/5/24

JICA 国際協力専門員・・他国際協力考

JICAの国際協力専門員に関するお話
 
本年度の募集と選考があるようです。
 
内容を見てみると。。。。これ迄の海外青年協力隊やシニアボランティアとはちょと一線を画した、っと言うか現役の専門家を派遣しよう。。。てな趣旨だと思います。
(英語、仏語、スペイン語ってのがどうしてなのか分かりませんが、任地がアフリカだとそういうことになりますかね?)
 
これはこれで、悪い話ではない。。フムフム
 
ただ、どうなんでしょうね?JICAさんいは申し訳ないんだけど、僕の持ってる印象からすると現地事務所の現地に関する認識と東京本部の認識に何か格差を感じる
 
皆さん、現地で何年かの駐在経験をお持ちの方々なんで、プライヴェート(笑)に話をすると十分に現在の体制ってぇかシステムでは問題があるし
協力隊やシニアボランティアなんかの限界も十分に承知してらっしゃる。。。。
 
外務省の方針(?日本政府のかな?)ってもあるだろうから、必ずしも現地サイドの事情を何から何迄考慮した方針ってのは難しいのも分かるんですが。。。。
 
う~~ん、難しいなぁ~・・・・前ログでも書いたけど、こうした日本からの支援体制を日本がどういう国際戦略でオペレーションするのか?
ってな辺りが明確にする必要がどうしてもあると思うんですよね・・・・なのでJICAや緒方さんだけの問題じゃないんだけど
 
せかっくの専門員派遣が現地で”こじんまりした活動に収束してしまう”・・・なんてことがないように、派遣する要員や現地プジェクトへの積極的なバックアップ
これが重要になるんじゃないでしょうか?

Inside watch ASEAN politics:Tied loan or Untied loan

日本のODAに関して、ちょっと・・・・
 
インドネシア共和国(Republic of Indonesia)のユスフ・カラ副大統領が「円借款に偏った日本のODAよりも中国から金を借りた方がいい」・・・
みたいなことを発言したりしてジャカルタのMRT(大量高速公共交通システム)への日本からの融資をつぶしたとか何とか。。。。。。(はは)
 
*まぁ~カラなんかは、自分が率いる傘下企業をその公共工事に引っ張り込む為にもそんなことを言った・・・ってのはモロ分かりなんで何ですが。。。
 
とは言うモノの確かに、日本からのODAは日系企業が一見、優先的に受注して資金の還元を行っているように見えなくもないんで・・・・
一方的に現地からそんなニュースが伝わって来てしまうと「さもあり何!」ってな反応が日本国内で起こってしまいそうですが
 
実態はどうか?ってぇ言いますとですね・・・・・・確かに日系のゼネコンなんてのがASEAN各地の公共工事のJVには名を連ねてはいる
・・いることはいるんですが、内容的にはほぼ100%現地ゼネコンに”丸投げ”しているのが実態。
(何処とは言いませんが:笑:友人のゼネコン関連商社マンのお話っすけどね)
 
そうした事情になってしまうのは致し方ない・・・・・色々と社会慣習が違いますんで(何のコッチャ?)
 
そういう意味で、現地の政治家なり官僚なり企業家が日本のODAに何がしかのイチャモンを付ける場合の背景には
そうした大規模工事等のファミリービジネスの仲間に入りたいけど入れない(笑)連中が悔し紛れに発言するってのが大方正しい。。。。
 
*カラ副大統領の発言なんてのはご本人には申し訳ないですが、インドネシアの天下国家のことを考えての発言では絶対にないっ!
 スハルトの時代に共産化政策を実施してASEAN内部でも今一、信用が無いってなことを分からないはずもなく
 豪州との関係を考えてもそう簡単に中南海なんて口に出せる訳もないのに、言ってしまう辺りは「俺を誰だと思ってる!大物だぞ!影響力あんだぞ!」式の
 まぁ~、日本国内の世論ってぇか、その辺を利用した(此処ら辺は抜け目がない、笑)ってな話に過ぎない。
 
・・・・っといったことはともかく
もう少し、日本政府はODAっと言う”Tool”の使い方を考えた方がいいのではないか?っと思う訳です。
 
つまり、そうしたToolを有効に使う為の「戦略」っとでも言うかなぁ~(実際はなかなか難しいんでしょうが)何を日本はその国にもたらすのか?
っと言う「日本としての姿勢」みたいなモンがないと、単に金額の大小だけではない・・・・何かが本当に必要になるのではないか?っと思う訳で。
 
例えばブッシュ政権が発表した新たな「国家安全保障戦略」の中でも何気に振られているんですが日本の”地域及び地球的レベルでの指導的役割への期待”
みたいな表現・・・簡単に言うと「中国とは決定的に違うことを積極的に示せ」ってなことなんじゃないでしょうか?
 
実際・・・客観的に見ても「不安定な三日月地帯(だったかな?苦笑)」の中で日本以西のイタリア辺り迄の地域で、いわゆる「ほぼ完全な自由、民主主義の法治国家」ってのは
日本しか無い・・・・・・タイやシンガポール、インド等は”一応”民主主義が機能している国家、ってな但し書き付なのは既に周知の事実
 
そういう意味からしても、日本はODAをこれ迄以上に戦略的なToolとして使用しないと、それこそ莫大な金額を出したにも関わらず
感謝もされずに、韓国や中国のような内政干渉にも近いような発言をされ続ける可能性がある・・ってことではないでしょうかね?
2006/5/23

CIMIC

CIMIC(Civil Military Cooperation)について
 
日本語だと「民軍協力」ってな訳になるんでしょうかね?(何となく変だけど、笑)
 
日本の場合はスマトラ沖地震の際にボチボチ始まって、パキスタン大地震の際にかなり上手く行った・・・みたいな状態でしょうか?
(活動の様子等はJICAの国際緊急援助隊(パキスタン)をご覧下さい)
 
でも、こういう協力体制ってのは現在の日本では結構難しいでしょうねぇ・・・・
僕が知っている日本のNGOって、設立が古い所程、Non-Gvernmentってなタイトルに拘ってしまって組織硬直している(頭が固い?)場合があるような気がする
 
実際、以前YのBBSで僕らの組織が任地の政府機関や軍隊、警察組織等と連携して様々な領域分担を実施しているってなことを書いたら
本当にNGOっかぁ?外務省の犬(ばうははは)じゃねぇかぁ?なんぞと訳の分からん突込みを貰った。
 
しかし、第三世界でのこうした支援活動ってのは災害救助に限らず純然たる民間のボランティア(日本語で言う所の)では勤まらないことが往々にしてある。
 
支援物資を現地へ輸送する、ってだけでも「人道支援」ってな項目って言うか課目が輸出入のカテゴリーには無いので
その”手続き”はれっきとした輸出入業務の何物でもない・・・・例えば、ビジネス領域でも「現地の企業」が購入した機械の部品が故障して
日本の製造メーカーへ修理の為に輸送しなくてはならない場合、現地の税関と日本の税関両方にその部品は既に購入済み(決済済み)の機械の部品であり且
部品の価格は~円であるが、決済済みであり修理の為の輸出、輸入であることを証明する書類を提出しないと課税されたり、書類不備で
税関から抜けない・・・・なんてことになる。
 
こうしたことは実際に日本の税関で起こったことですが、これがいざ第三世界でっとなると、日本という先進国から送ったいかなる物資も
現地では十分に「売り物」になるレベルを確保している・・・・・そんな時、最も問題になるのが送り出す側ではなく受け入れ側の組織体制であり
その現地の体制もその国の中で正式に認められた組織でないと、とんでもないことになる場合が多い。
(そういう不手際をある種の武勇伝的に、それでも我々は活動している・・ってなセリフは、何をか況やんで、単にシステム不備、知識不足ってなだけなんだけどなぁ・・・)
 
更に、通関した後でも、そうした物資の最終目的地迄の輸送手段の確保や安全の確保(上で書いたように、例え古着であっても商売モノに十分になる)
強いては物資ばかりではなく要員の安全確保の問題等、到底民間レベルではどうにもならない分野ってのを避けては通れない。
 
当然、最終目的地での活動中の安全確保ってな事柄も起きる訳で・・・・
 
つまりは、役割分担、っとでも言うかお互いの得意分野で協力し合って初めて効率の良い最終目的地での最終目的が達成される場合が多い
 
・・・・より上手く行くんでしょうかねぇ????