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    24-10-2006

    A scenario to isolation:Indochina crisis-1

     DPRKの核実験(もどき?)関連の記事を書かない訳には行かない(そんな雰囲気の)ようですので、本稿では
    『日本が核武装を完了した場合のインドシナ半島、ASEAN情勢』に関するシミュレーションを(あくまでもFictionですが)考えてみたい・・・と思います。
     
     その前に、10月18日のライス国務長官と麻生外務大臣の共同会見の中から”ライス長官の発言”を引用しておきます(外務省HPから)。

     
    (3) 加えて、私たちは、この重要な時期における日米同盟の重要性について協議した。米国は、1960年の日米安保条約を含めた全ての安保体制上のコミットメント含め、日本の防衛に対する米国の確固たるコミットメントを大臣に再確認し、
    明日安倍総理に対しても再確認する予定である。自分は、ブッシュ大統領の、米国は日本に対する抑止と安全保障のコミットメントをあらゆる形で、繰り返すがあらゆる形で(full range)履行する意思と能力を有している、との10月9日のステートメントを再び述べた。
     
     また、仮に北朝鮮が核関連物資・武器を他国や非国家に移転する場合、その責任は北朝鮮が負うことになる旨ブッシュ大統領は明らかにした。現在は、同盟国が特に協調すべき時期である。
    我々の同盟関係は、この地域の平和と安定の重要な柱の一つであり、現在更に強固なものとなっている。これは全ての関係国が承知しておくべきことである。

     
     では、

    【インドシナ・クライシス シミュレーション-1】
     
     20XX年、日本は純国産MIRV(Multiple Independently-targetable Reentry Vehicle)仕様で射程800km~6,000kmのIRBM : Intermediate-Range Ballistic MissileとMRBM:Medium-RangeBallisticMissile配備を完了すると同時に
    DDG(Guided Missile Destroyer:イージス艦)にも純国産Cruise Missile(弾頭種類は不明)の装備を完了するに至った時点からこのシミュレーションは始まります。
     
     日本の核配備は当然のように本土防衛という観点から太平洋側には配備されていないにも関わらず、日米安保条約は破棄され日本国内に駐留していた米軍もグァム、ハワイの基地を残すのみとなって、日本の”主張する独自外交”と称される政策が本格的に始動し始める。
     
     当然、戦術核とは言いながらその目標が何処を指しているのかは軍事機密ではあっても、韓国、DPRK、中国、台湾海峡付近及びインドシナ半島北部太平洋側迄は含まれているのは周知の事実として認識されていた。
     
     自衛隊は核配備によって、特に陸上自衛隊の機械化師団等は削減統合され、より本土防衛に的確に対応することとPKO、PKFへの積極的な参加を目指した部隊装備編成に変更され、現在以上に敵対国への侵攻、占領能力は皆無の状態になっている。
     
     日本政府は、防衛庁を防衛省に格上げし、配備された核兵器の性能維持の観点からより積極的なシーレーン防衛を目指して海上自衛隊の拡充に力を入れる方向性を打ち出していた。
     
     又、日本政府はシーレーン防衛の中でもスマトラ海峡を航行するタンカーの護衛を確実なモノにしようと、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピンとの間で準同盟関係の締結を目指し、物資補給の為のDDG艦船の寄港を実現しようとしていた。
    (インドネシア、ブルネイとは中東からの原油確保に問題が生じた場合を想定して、資源開発の名目で油田の独自開発を無償ODAの形で提案をしていた)
     
    ■ [シンガポール]
     
     リー・シェンロンは、シンガポール人と言うよりはその長い海外留学の影響から既にアジア人ではなくなっている為にシンガポールの生存策(リー一族の生存策)としてChina-Moneyを主体とするアジアの金融取引センター化を目指していたので(愛国心等と言うモノは持ち合わせていない、
    国際銀行家としての見識が優先されている)、米国第七艦隊のシンガポール寄港とは全く違った意味合いを持つ海上自衛隊DDGの寄港には中南海への配慮からかなりな懸念を持っていた。
    (米中の直接対決は両国がUNの常任理事国であることに加えて、中南海指導者の中国共産党的現実主義からも台湾問題にしてもその解決には更なる長期化が予想されるが、こと日中間となると・・・事態が急を要する可能性を否定することはほとん出来なかった)
     
     その結果、海自DDGのシンガポール寄港を含めた日本との準同盟国条約の締結には(これ迄の日本との関係も考慮して)継続検討課題とすることにして(日本的に言うと”寝てしまう”ことで)先送りし、緊急事態が発生した場合、事前に寄港の是非を協議する・・・という共同声明レベルに留めてしまう。
     
    ■ [マレーシア、インドネシア]
     
     スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領、アブドゥラ・バダウィ首相共に政権基盤が軍部掌握という面で不安要素を抱えている関係から、日本が示す防衛政策の基本が「反共」にあることは軍部の中でも支持する勢力はあるが必ずしも全体的な支持のレベルに迄は至っていなかった。
     
     マレーシア、インドネシア間にある相互不信感は依然として強く、強力なミリタリパワーを持った日本との間の準同盟関係締結にはどちらが相手よりも優位に立てるか?が焦点となりアジア人特有の”重箱の隅を突く”ような・・・「海自DDGが寄港する順番」といった事柄に議論が落ち込んでしまっていた。
     
    ■ [タイ]
     
     06年に発生した軍事クーデターによる改革評議会による指導体制は国際世論の非難にも関わらず維持されており(まともな民主政党がなかなか誕生しない、という国内事情の関係から改革評議会を解散したくても解散出来ないという状態になっていた)、南部の分離独立運動は
    タイ初のイスラム教徒司令官でもあるソンティ議長の誕生にも全く関係なくその発生頻度は上昇し続けていた。
     
     又、暫定内閣はそのエリート層独特の非現実感と国民事情への差別、優越感からの無知さを曝け出しており、当初の地域振興、貧困撲滅等のキャッチコピーは相変わらずコピーのままで、有効で具体的な手段を何一つ実現させてはいなかった。
     
     そうした状況の中で、現国王の退官(実際は死去によって)Crown Prince Maha Vajiralongkornが王位(国軍最高司令官)を継承していたが、彼の基本理念は「大タイ思想」であり、いわゆる”オリジナルタイ人の復権”を真剣に夢想していることから、イスラム教徒、架橋系タイ人の政治的な勢力拡大には
    好感を抱いていてはいなかった為に、南部情勢の安定化が実現しないことと架橋系タイ人が多数を占める暫定内閣の優柔不断さに業を煮やして、改革評議会を解散し新たに腹心の部下達を評議会メンバーと指名して新たな暫定内閣を国王自らの意思で発足させる事態となっていた。
     
     新国王は元々、徹底した”反共思想”の持ち主であることから、日本の核武装に伴うタイとの準同盟関係の確立には積極的に反応し、暫定内閣の首相に日本との条約締結を協力に推し進めるよう支持をだした・・・・・
     
     特に、暫定タイ政府は、国内にあるほぼ全ての日系軍需産業が日本の核武装に伴って行われた武器輸出三原則の廃棄から、タイ国軍に対する独自セールスを実施するようになり、日本の技術力と効率化されたラインから生み出される低価格で高性能な武器の供与が容易になり
    且つ保守管理も現地法人で可能になったことからこれ迄米国からの供給に頼っていた装備を一斉に日本製の兵器への転換を開始し始めた。
    (結果的にタイ王国は国防予算を大幅に削減することが可能になり、これ迄無用の長物であったASEAN唯一の空母の利用者も確保出来る可能性が高くなったと皮算用した)
     
     しかし、シーレーン防衛をあくまでも念頭に置く日本政府は海自DDGの寄港地がシャム湾をかなり深く北上しなければならないタイでは必ずしもその機動性を生かせるとは考えておらず、条約の締結には踏み切りはするが、日本国内的には必ずしもタイの優先順位は高いモノとして評価されなかった。
     
    ■ [ヴェトナム]
     
     グエン・タン・ズン首相の基本はその「ベトナムへの愛国心」が優先されるのは周知の事実であり、06年に国賓級の扱いで日本への招待を受けたとは言いながらも、在越日本大使館の陣容には必ずしも高い評価を与えておらず、日本大使館側も効果的な関係をグエン・タン・ズン政権と構築出来ているとは言い難かった。
     
     更に、ヴェトナム愛国者の視点からすると、日本の核武装の目標が中国へ向けられているイコール反共対策であると認識され、その反共政策の一環として日本の独自シーレーン防衛論から、陸続きのタイとの間に同盟関係が締結されるに至って、
    ヴェトナム戦争当時の、タイ王国とタイ人がヴェトナムに対して行った蛮行への怨念から、タイが日本のミリタリーパワーと経済力を利用して、カンボジア、ラオスを通過してヴェトナムへの攻勢を再度、有形無形に掛けてるくる可能性の高さを確信していた。
     
     しかし、中南海との政治的な協力関係を再構築するには余りにも中南海の覇権意識の強さから不可能であり、ドイモイ政策の更なる進捗を考慮する限り、共闘による日本への抑止路線等は到底採れるモノではなく、独自の対日工作を実施することで日タイ同盟の弱体化を画策する方針を採用する。
     

    Memo:
     
     ヴェトナムの独自対日工作で考えられるのは、タイ国内での日系企業及び日系人に対するテロ行為を発生させることで、共闘関係ではなくとも中南海に対して日本のミリタリパワーの分断を実現し、いわゆる”恩を売る”ことに特化した作戦を採用する。
     
     国境の広大な無人のジャングル地帯を通って特殊部隊等を潜入させることは、反共に凝り固まったタイ国軍、特殊武装警察と直接対峙する可能性が高くなり万が一、捕虜、装備の鹵獲等に至った場合に国際問題に発展することから、一般のカンボジア人、ラオス人、ミャンマー人、
    ムスリム系タイ人を利用する作戦を採用する。
     
     タイ国内にある日系企業の全ては危機管理に関する認識は皆無であり、相変わらずその決裁権は全て日本国内の本社に依存してる関係から、派遣されている人員も技術者、高度作業員だけであり彼らが未経験領域である現地法人の総務、財務迄管轄している為に、
    危機管理を認識せよ!ということ自体が理解の外にあって、何をどうすれば良いのか?も又その方策の決定、実施さえも現地では行えず、日本本社側も現地の事情に正確な理解を持っていない為に、危機管理の代表格である「テロ対策」等は想像することも出来ない状況にあった。
     
     手始めにタイ南部の分離独立運動を利用した形で、タイ中南部工業団地にある日系企業(本社は日本軍需産業)の従業員福祉の一環として実施している「通勤バスの爆破」から開始する。
     
     方法はいたって単純で、警備体制も何もない状況であるので、ムスリム系・タイ人に朝の出勤時にバスが停車する傍で”朝粥の屋台商売”をするようにお膳立てする。
    その屋台には携帯電話を利用した遠隔起爆装置と高性能爆薬を仕掛けておき、当の商売をしている人間にはその事実は完全に伏せておくいて、一週間程度実際の商売をさせておいた後で、現地従業員もろとも爆破する。
     
     この段階で被害に遭うのはタイ人だけに限定されることから、単身赴任している日本人従業員が好むミャンマー人、カンボジア人の女性(バーガール等)を利用して篭絡させた後に拉致誘拐すると同時に殺害する(人質を取る方法は一切採用しない)。
     
     意味もなく、あくまでも日本国内向けに拷問を加えた後に殺害した遺体を発見されやすい場所に放棄して、タイ国内警察が発見すると同時に、あたかも南部分離独立運動過激派が犯行を実施したかのような声明をインターネット上に発表する。
    (方法は、イラク等で行われた外国人誘拐殺害と同一のモノを採用する)
     
     発表される声明文は「日本のアジア覇権主義の軍事大国化とその共犯者であるタイ国に対する懲罰であり、タイ国が日本覇権主義者と手を切らない限りレジスタンスは継続される!」というモノとなり・・・・タイ各地にある日系企業と法人が確実なターゲットとなって被害が即発し始めると同時に
    タイ政府は事態の急激な悪化により、新国王自らが「全土戒厳令」を布告する事態になる。

     
    ■ [日本]
     
     日本国内でのテロ行為が発生することはなかったが、タイ国内における日系企業及び邦人に対するテロ行為の頻発に対して、日本政府はタイ政府へ早期の解決と日系企業、邦人保護を強行に申し入れるが・・・肝心のタイ国内では
    組織だったテロ行為ではないことに加えて、多くの日系企業に従事するタイ人も巻き添えを喰って死傷していることから・・・被害に遭ったタイ人への補償問題等を優先させることで国内での日系企業と邦人への反発を緩和しよとうという如何にもタイらしい政治手法を優先させ、更には
    日タイの同盟関係を逆手に取るかのような日系企業、邦人保護を目的とする自衛隊のタイ国内派遣を許可する・・・という、全くの他人事手法迄繰り出すに至り、日本政府は通常弾頭Cruise Missile搭載のDDGと組織改変して出来上がったPKO、PKF専門協力部隊1個師団派遣することを決定する。
     
    ■ [マレーシア・インドネシア]
     
     日本海自DDGと1個師団のタイ国内への派遣を知り、マレーシア国軍は南部情勢の悪化に伴ってマレーシア北部に増派されていたマレーシア陸軍を更に増強することで、この事態に対応しようとする。
    (シンガポールが持つ金融センター機能と偏った資産配分のシンガポールからの肩代わりも視野に入っている)
     
     インドネシアは、マレーシア国軍の北部移動に伴うマレーシア国軍の兵力減少に伴い、これ迄マレーシアとの国境が不確定で且つ海賊の移動が頻繁に行われていた地域での海賊掃討作戦という名目で実効支配線の確定を行う動きに出る。
     
    ■ [シンガポール]
     
     インドシナ半島内におけるマレーシア国軍の増強により、シンガポール領内からの架橋系追い落としの危険性を察知するも周辺諸国でシンガポールに組する可能性を持った諸国は一つもなく孤立無縁の状態に陥る。
     
     そうした状況に漬け込むように日本から同盟関係の締結を薦められるが・・・この日本政府の行為がマレーシア、インドネシア軍部からすると反共のはずの日本が自分達を差し置いてどうしてシンガポール等と・・・という疑いを持たれる状況を招いてしまう。
     
     その結果、周辺諸国がそこ迄シンガポールを中南海の出先機関としか見ていないなら、その通りにしようじゃないかっ!(どうであろうがリー一族とその資産さえ生き残れば何も問題はないので)ということで急速な中南海接近を開始する。

     
     この段階では、豪州、ブァム、ハワイへと撤退した米軍と米国は登場して来ません。
     
     なぜなら、日本が核武装をして迄行う独自外交のASEAN域内での推移を見ている(つまり様子見をしている)からに他ならないからだと思います。
     
     例え、日本が独自の核武装を行い、日米安保から離脱して行ったにせよ、日本は独裁国家でもなく民主主義国家であることに代わりがない訳ですから、保有した核兵器を問答無用で使用する等とは豪州も米国も考えてはいない。
     
     考えてはいないでしょうが、ヴェトナムの動向(ミャンマー、ラオス、カンボジア共)にはかなりな注意を払う可能性がある。
    つまり、ヴェトナムが日本の核武装をその目的や動機はどうであれ、容認するようであれば核武装した日本にアジア地域の戦前とは違う意味での盟主の位置を認めても問題はない可能性が出てくる・・・・
    (なので、今回のグエン・タン・ズン首相の日本訪問は色々な意味を持っている可能性が出てきますね・・・・
     次に、マレーシアとインドネシアが日本の核武装をと独自外交をどのように利用しようとするか?
     
     核拡散問題の最も重要な部分は、上記でも明らかなように、ASEAN域内で独自核開発やDPRK系、パキスタン系、イラン系の核兵器を購入する可能性を持った諸国は存在してはいません。
     
     しかし、日本が独自の核開発と核武装することによって、肝心の日本がASEAN域内への核拡散の元凶にならない!っと断言することが出来ないのではないか?・・・という疑念が残ります。
     
     なぜなら、日本が核武装の結果として日米安保から離脱して行く先に、核武装した日本と積極的に友好関係又は同盟関係を結ぼうと考える第三世界が存在していないからに他ならないからです。
    (各国の独自の都合と勝手な解釈による基準は出来上がるでしょうが、それは現在の日米同盟とは全く異質のモノでしかありません)
     
     更に、上記で想定したような事態に陥った場合、日本は本当に邦人保護の名目で(つまり独自の判断で)海外派兵を決断出来るのでしょうか?
    ヴェトナムが反発してあのようなテロ行為に出た場合、そのテロの首謀者と背景にヴェトナムが存在することを証明することはほぼ100%不可能なのです。
     
     なぜなら、タイでさえも街中の屋台の親父が隣に出来た大型スーパーに激怒してRPGをぶっ放させる、つまり軍事兵器だから管理が完全に出来ている等は夢物語でしかないのが現実なのです。
    (アフガン等の偏狭地域で怪しげな武器の調達をして陸路を延々と密かに輸送する等の手間隙を掛ける必要など全くない:タい南部のテロにしても当初、南部に駐留するタイ国軍の兵舎がテログループに急襲され数百丁とも言われる軍用ライフルとその他の武器が強奪されました)
     
     その上、邦人保護名目でタイへ出動した海自のDDGに搭載した独自開発の巡航ミサイルの弾頭が通常火薬であることを海自は本当に証明出来るのでしょうか?
    タイは本当に日本が信頼出来る同盟国としての立場を堅持してくれるのでしょうか?・・・・約30万人とも言われる現地の在留邦人と日系企業が
    タイの人質ではない!・・・っと本当に言えるのでしょうか?
     
     核武装した日本が、それ迄の米国と同様にASEAN域内で絶対的なプレゼンスを獲得することが本当に可能なのでしょうか?
     
     可能性やブラフとしての議論を行うことは(議論で済むのなら)何の問題もないかも知れません。
    しかし、如何に核武装して軍自大国になったとは言いながら、グランド・デザインも国民全体のコンセンサスとしての覚悟も決意もないまま(大国として国際社会に責任を負うという覚悟と決意であって、核兵器を使用するという覚悟と決意ではありません)
    主張する独自外交と言いながらも、根本が対処療法外交のままであるなら、結果的にASEAN域内を単により不安定化させてしまうだけではないのか?
     
     日本はどうしたいのでしょうか?
     
     

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