asean's profile亜 瀬 庵 ・ 内 見 聞 ・ 徒 然 草PhotosBlogLists Tools Help
    2/9/2007

    Whimsical diplomacy of the superpower:U.S.A

     9.11以前の米国が採用していた対中東外交からイスラム諸国(あらゆる勢力と一般国民に至る迄)が抱いていた感覚(認識)として代表的なモノが
    どれだけ(イスラム原理主義勢力やフセイン等が)「反十字軍」を喧伝しても肝心の米国側に自分達と同様な確固とした宗教的価値観(この場合はキリスト教ですが)を背景にしている様には到底見えず「(ひょっとすると)相手にされていない(のではないか?)」
    だったと考えます。
     
     事実、Papaブッシュ政権(ベーカー)による湾岸戦争に至る”連合軍形成”の進め方は冷酷にプラグマティックであり、フセイン政権による”ジハード”の宣揚を簡単に粉砕してしまいましたし(まぁ、元々中東地域でバース党主導のイラクが”ジハード”を謳うこと自体が滑稽で、周辺アラブ諸国の反応は
    旧イラク国旗に突然”神は偉大なり”なんて入れても”??”っとなるのが関の山だった)クリトン政権のビン・ラディン討伐と銘打ったスーダンの化学工場空爆のように如何にも場当たり的で理念や価値を押し立てる様子等まるでなかった訳です。
    大統領執務室で不倫を働いた堕落した背教者の男に一方的に攻撃される等誇り高いムスリムとhしては面目丸潰れ以外の何物でもない・・・)
     
     この一方的でありながら腰が引けた(?)空爆によって多数の無意味な死傷者が出たことによって高まった”怨嗟の声(馬鹿にするなっ!・・だったでしょうが)”すら聞こえない無関心が顕著だった・・・
    (その超大国としての非対称性からいい加減な精密誘導爆撃(?)であってもそれなりの被害を相手には与えられ、誤爆等の非道さを訴える声には「ん?それがどうしたの?」程度の反応しか示さない等など・・・)

    Memo:
     
     相手にしない典型は湾岸戦争回線直前に行われた”James Addison Baker IIITariq Aziz or Tareq Aziz, (Arabic: طارق عزيز, Syriac: ܜܪܩ ܥܙܝܙ)会談”だったでしょう。
     
     アジズ外相がクェート帰属に関するイスラム的歴史観(の正当性)、イスラム教的思想背景、政権正当性、国際社会での評価等を幾ら抗弁しようがベーカー国務長官(当時)が「Miscaliculation!(計算違い)」の一言で押し通した手法とは
    (僕個人としてはこのベーカーの手法は超大国米国の外交としては秀逸だったと理解していますが・・・)交渉相手(っと勝手に思っている側)が何を言おうが、米国自身の(国内)事情が何よりも優先され、交渉している又は交渉出来ている等と考えること自体が”計算ミズ”なのだ!っと言うモノでした。
     
     早い話、「アンタラの事情はどうでもいいんだ!コッチが納得出来る形で降伏(当時はクェートからの撤退)しないのなら攻撃するよ!」と言う論理だったので議論が全く噛み合わない(相手にしていない)が故にアジズに「それは、Miscaliculationだ!」っと何度も繰り返した・・・
    (この会談自体が米国は最後の最後迄外交努力を放棄しない、っという米国側の国際社会への単なるパフォーマンスでしかなく、会談に臨んだ段階では既に攻撃が決定されていたと思いますが、アジズは何度も繰り返される計算ミスの意味を理解出来なかった)。
     
     一方、非民主政権の堕落して自国の安全保障能力を持たない湾岸産油国指導者達に対してはクェートに悪さを働いたイラク撃退作戦に参加しないのなら後で腰が抜ける程の戦費請求書を送り付けて取り立てるぞっ!(ハーバードビジネススクール出の敏腕弁護士らしい)とやって
    連合軍を形成した(事実、サウジはその戦費支払いでそれ迄栄耀栄華を誇っていた外貨準備高が底を突いた・・・シリアとエジプトに対してはちょっと違った方法だったと思いますが。。。)
     
     超現実主義のベーカーにしてみると、湾岸戦争を米国一国で実施出来るか否かやイランがどうのこうの等も実は全く問題にしていなかったのではないか、とさえ思える訳です。
     
     Papaブッシュ時代の米国政府の政策(ベーカーの政策)は(超)現実主義というイスラム側には決定的に欠落しているが故に理解不能な価値観を信念として中東外交を行っていたのに対してクリトン政権(民主党)では単に”日和見主義”であったに過ぎないだろう・・・とさえ思われます。
    (きしくも”結果”:相手に与える影響:が同じだった・・・っというのが何か悪い冗談のようですが・・・)

     
     要するに、米国(米国民?)が理解出来ない事柄に理解を示す必要等いささかも感じないし、ましてや関わる気も毛頭ないが”議会”(世論大事の議員)が「イラクの非道を許すまじ/戦争止む無し」と言うのだからその通りにする”だけ”の話で、
    その後の事態(米国の将来、国際社会での評価etc、etc)等”知ったぁことじゃないっ!”という姿勢こそが世界で唯一の超大国である米国外交の真骨頂なのではないか?・・・っというjことです。
     
     このような対応をされてしまう第三世界はたまったモノではないのですが逆に”そうなんだ!”と分かってしまえば最も理解可能な理屈なんですが・・・つまり、絶対権力を持った絶対君主
    (誰の言うことも誰の都合も考慮する必要のない立場の存在故に相手を常に無視出来る)の言動への対応はいつ何時豹変するか分かりませんから気骨は折れますが、第三世界の多くはそうした体制に長い間慣れているのも事実でもあります。
     
     問題なのは、下手に旧来の西欧型外交手法(お互いの主張を開示しながら妥協点を探る等)を駆使したりしてしまうと(自身で既に決断したことを相手に尋ねるような女性と接するようなもんで・・はは)癇に障ってしまうか、分かり切ったことを敢えて発言してやっぱり癇に障ってしまう・・・
    (昔の絶対君主も同様だったと思いますが、良い事だろうが悪い事だろうがその絶対君主に意見するのは処刑される覚悟が必要だったと思いますし・・・)
     
     肝心の米国に相手にされていないのですから、多くのイスラム諸国が最後のよすがとするのは(本心では絶対に信用していないが故に余計に情けなさが増す)リベラルな国政世論のみ、っとなって自らが”被害者”として位置付けた上でその倫理的な”高み”から欧米に物申すしかない
    ・・・っという自己矛盾も甚だしい事態になっていたのは確かだったっと言えます。
     
     こうした国際社会での閉塞状態から脱却出来ないが故にイスラム教圏内ではより7世紀の呪縛に絡め捕らえるかのような状況が進行していってしまったのも間違いがありません(ムハンマドやオスマントルコの支配者達が21世紀の世界の広さと狭さや米国の存在等を想像出来たとも思えない訳で・・・)
     
     特にイスラム世界の実際の歴史において、政治秩序に関する宗教的倫理規範が常に現実化されて来た訳ではないことが更に事態を厄介で複雑なモノにしてしまったっと考えます。
     
     つまり、イスラム教が提示する”あるべき政治秩序”は宗教倫理に基づいた”理想的世界像”であり、現世の人間世界において現実化することはそもそも難しいからに他ならないからなのです。
     
     イスラム教が含む政治概念とは具体的な政治体制や制度と言うよりは政治支配者と被支配者がそれぞれ備えるべき宗教倫理上の要件を列挙したもので、「社会的諸価値の権威的配分」、「希少資源の有効配分」といった機能的、功利的な政治概念ではなく
    「正義」、「徳」、そして絶対的な「善」と「悪」の峻別といった倫理的概念を中心としているのであって実現の為の具体的な手法に迄及んでいないからに他なりません。
    (ですから、欧米リベラル派の方々が時々持ち出されるイスラム法が細部に渡って云々と言うのは的外れな話でもあるんですが・・・)

    Memo:
     
     実際には政治の実効支配者が自ら支配のあり方を「イスラム的」と”断言して”理想社会は既に実現している!っと唱え、宗教学者によるお墨付きを得ることでその主張を補強して来たに過ぎないのが実態です。
     
     つまり、宗教の再解釈をその時々に積み重ねることによって理想と現実の乖離を問題にさせないメカニズムを成立させ(為政者の為に)理想世界像への信仰が実際に現実を正当化(又は正統化)する為に利用されて来た訳です。
     
     そのメカニズムの要点を簡単に言うと
     
     宗教の来世的観念を政治に持ち込むことで現世における政治支配者の行動に関するAccountabilityを棚上げしてしまい、最後の審判における究極の説明責任を来世における賞罰を想定することで現世での為政者の責任はおざなりにする・・・
     
    Ex.
     
     自分(政治支配者)は敬虔なムスリムであり、そのムスリムが目指す国家はイスラム教が指し示す理想的なイスラム国家であることは間違いがないっ!その理想的なイスラム国家になる”はず”の”我が○▽■×イスラム共和国”の真の実現を阻んでいるのは
    アメリカ・シオニズム(?)による陰謀のせいであるっ!
     だから(モノカルチャーの脱却が出来ないのも、経済が活性化しないのも、農業政策が上手く行かないのも、etc、etc・・・)自分(達=為政者達)には全く責任は無いのであるっ!
     
    ・・・という理屈が成立してしまうことになります。
    (・・・考え方によっては非イスラム教国の為政者の方々にとってはまことにこの上ない文字通りの”理想”であるかも知れませんが・・・)
     
    Note:
     
     余談ですが、アフガンのような(イスラム的に)未開の辺境地域とイラクとでは(旧ソ連の影響もありますが)”国民”としての意識形成が大きく異なっていました。
     
     イラクではイランとの”総力戦”の影響で基本的教育水準が向上した(字が読めないでは近代兵器扱ったり部隊行動をすることも難しいですから)上に”対ペルシャ人”という意識から”イラク国民”という帰属意識も作りげられた・・・
    (アフガンはイスラム的に洗練されていなかったので纏まることが出来なかった、っと理解されているようですが)
     
     こうした意味合いからするとアフガンでのタリバンの役割と問題とは
     
     宗教的な規制によって内戦で完全に崩壊した(元の状態に戻った、とも言えますが)社会に”最低限”の秩序を回復する一種の”起動ディスク”(完全に復旧はしないが取敢えずPCは立ち上がる)的な役割の程度だった
     
    ・・・にも係らず領域国家(主権国家ではありません)の事項支配権を掌握してしまったことが問題だった、訳です。
     
     未開で辺境地域であったがが故に、元々の単純さに立ち返って”大同を捨てて小異に突いた”だけの話とも言えますが・・・

     
     こうしたイスラム社会の閉塞感の中で理念と乖離した現実を拒絶し神の名の下に破壊を正当化することは最後の審判において褒章を受け取る為の条件と信じ、他社の死を顧みず、自らの死も厭わない自殺型攻撃を敢行するイスラム原理主義過激派が出現してくる訳ですが
    彼らの信仰に基づいた行動は極めて大きな犠牲を許容出来る為に対応が非常に難しい訳です。
     
     彼らの原理主義思想からすると実行部隊の個々人どころか組織全体が殲滅されることすら失敗を意味しないので・・・神が自らにその絶対真理を告げたと信じる立場からは必ず別の者が後に続くと信じられている・・・・
    状況を変え、後続の者達を触発する為であれば組織全体の消滅すら選択肢に入って来る訳ですから、そのようなテロ攻撃を防御する側の合理的予測(西欧的で現世的な意味での)を超えた作戦を実行することが可能になるのです。
    (9.11はその典型で、それ迄は誰も普通旅客機そのものが兵器になるとは思ってもいなかった・・・)
     
     前のエントリーで「もしもイランを攻撃する事態になると:地上軍の侵攻:何処にも味方になる勢力が存在しない」と述べたのも、実際、イラン革命では王制打倒”後”の諸勢力の角逐を勝ち抜いて聖職者の支配によるイスラム共和国体制を樹立するのに
    極めて士気が高く低コストで(異教徒をイスラム原理主義者にするのではないので)自殺型実行部隊を動員出来た結果という”実績”を現イラン体は持っているからなのですが・・・
    (贔屓目的な表現をすると、イラン国民は現在の社会体制を”戦って”勝ち取った:民主主義成立の際にも同様の理屈が使われますが:のであって、イラクのようにフセインという独裁者とその圧制から社会体制を維持していた訳でもないので、イラクとは比較にならない程手強いのは間違いがないのです・・・)
     
     ・・・っと此処迄の話は(純粋な)イスラム原理主義過激派の話なのですが、本当にイスラム原理主義過激派がそうであるならば、現在のイラク国内で騒いでいるサドル率いるサドル民兵なる存在が同様の信念に基づいているのであれば
    それはそれで見上げたモノなのですが(ただのハミ子にされた意趣返しを権力闘争に切り替えただけの人間に組織消滅迄を意識して徹底抗戦する根性等あるはずも無い)・・・。
     
     ビン・ラディンのアル・カイダもその組織概念の”固定した組織を形成しない”等は一見、欧米の対テロ行動への戦略的帰結でもあるかのように受け取られている節がありますが、果たして本当だろうか?っと疑いたくなるのです(真に彼らがイスラム原理主義過激派であるなら、
    上記で述べたことと矛盾してしまうからなのですが・・・)
     
     つまり、ビン・ラディン”だけ”が何時迄経っても”生き残っている”ことを彼自身はどう言い訳するするつもりなのか?ということでもあるのです。
    (そういう意味ではカカシさんが常日頃仰るように、頭目さえ消去してしまえば後はどうにでもなる風な話は当たらずと言えども遠からずなんですけど・・・)
     
     因みに、アル・カイダにしろ他のイスラム原理主義過激派にしても「反グローバリズム」というスローガンは決して掲げていないばかりか、彼ら自身がグローバリズムによる恩恵を十二分に利用して活動している(犯行声明をインターネットで流したり、世界各地の不安定地域をネットワークしたりなど等)
    ことからも、嫌米からの解釈は妥当とは言えないのは確かです。
     
     以上から、現在のブッシュ大統領が9.11以降採用した対中東政策は、何処をどう間違ったのか?イスラム原理主義過激派が望んでいた「文明の衝突」という土俵に上ってしまったような結果(テロ組織側は一応、イスラム原理主主義という強固な信念を持って、
    社会全体の破壊を目的に活動し、それらに対応すべく当初は強固な信念を採用しようとしたが失敗し強固な信念になり得るはずもない”自由・民主主義の拡大”という妙な理屈を捻り出してしまった)、9.11以前迄は閉塞状態にあったイスラム社会にリベラル的な被害者意識という本意ではない
    足場の代わりを与えてしまった為に、イラク国内での治安回復という局所的な対応でさえシーア派、スンニ派の立場を考慮しなくてはならなくなってしまった。
     
     肝心の一般的なイラク国民からするとフセイン政権打倒の為のイラク侵攻(戦闘)にはフセイン後のイラクの将来に期待する意味で我慢も出来たが、何時の間にやらそれが「対テロ戦争」の主戦場としてイラクが使用されているかのような状況を許容しろ!っというのは少々虫が良過ぎる。
     
     イラクで米国がモタモタして混乱が続いている間に、スンニ派テロ組織を側面支援しているであろうサウジは、これ見よがしに、パレスチナのファタハとハマスの仲介を買って出てメッカで協議を開催して、サウジの威信を誇示している。
    (ハマスの阿呆も、イラン迄出向いて議会でイラン政府と国民に感謝する!等と演説をぶった舌の根も乾かない内にこうしたこと平気でやる・・・エジプトはこの状況は全く面白くない、ムバラク一族は親父の体調が悪くなった途端に
    鳶に油揚げをさらわれるがごとくパレスチナ問題をサウジに持っていかれるとは何事かぁ!っと国内で批判が噴出する可能性が高い・・・)
     
     いい加減ではあるが(イスラムから見たら自由・民主主義ってのはそう見える訳ですから)癇に障ると”断固とした”報復が情け容赦なく実行される(つまり、断固とした信念等は必要がないのです)・・・これだけでいいはすなんですけどね。。。
     
     知日派?知イラク、イスラム派?・・・へん!くそ喰らえだっ!そんな与太を聞き過ぎた為にこの様だぁっ!誰の言うことも聞かんぞぉっ!・・・っと言う意味でイラク政策の失敗は自分にある、ってことなんでしょうね・・・多分。
     
     

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