International rescue & help operation:Myanmar cyclone + 2008 Sichuan earthquake

 ハミッシュ・エディの積ん読 国際ニュースの中で中国の大地震とビルマのサイクロン被害:目立たぬ空からの支援(2008年5月18日)っと言う記事がありましたので、その関連を・・・
 
 以前、このブログでCIMICについて触れているんですが、CIMICレベルと迄は言わなくとも大規模災害が発生した場合の国際協力についてちょっと考えてみようかなっ?っと思う訳です。
 
 阪神大震災の際にも実は日本政府は各国からの救助活動の申し入れを断った・・・ってな経緯があるんですが、日本の場合と今回のミャンマー・サイクロン被害と四川大地震被害での他国からの救助活動の申し出を断っている又は遅れた背景は日本の場合と違っている・・・っと思うんですね(四川大地震の場合の中南海の対応の中には阪神大震災の場合の日本政府と同様の背景が含まれている・・・っとは思いますが)。
 
 阪神大震災の場合は、まぁ、何と言うか現代型の都市部で発生した未曾有の直下型大地震ってのもあるでしょうけど(その経験が現在の様々な救助・救援活動の土台になっている訳ですが)、他国からの緊急救助支援を速やかに受け入れる為のシステム自体が当時存在していなかったことに加えて”言葉の問題”が非常に大きなウェートを占めていた・・っと思います。
 
 つまり、一刻を争う混乱を極めた状況の中で右も左も不案内な”外国人で構成された緊急救助隊”との「意思疎通」をどのようにスムーズに行うか?は実は現在に至っても全く解決されてはいない。
 
 日本語だけでも「西宮八番町の何処そこでマンション倒壊、多数の生埋め・・要救助者確認、現場へ急行せよ!」ってな命令や様々な伝達情報を正確に且的確に伝えるのは日本人同士でも相当に難しい所へ持って来て、その日本語を逐一”英語”に翻訳するなんてこと迄も同時に行うのは至難の業を遥かに超えていた。
(こうした状況が、海外で発生した場合はコミュニケーション手段を”英語に統一する”のは逆に容易になることはなるんですが・・・、昨年のDocomoのCMであったような翻訳機能が実際に実現出来ればいいでしょうけどね・・・)
 
 近年は日本等の先進国でこうした大規模災害が発生した場合等は、いわゆる”指揮命令系統”が速やかに機能することが考えられますんでさほど問題にならないのが(高度な緊急救助技能や装備を持つ組織の大方は民主先進国に多い為に、活動対象国の中で相手国の人間又は組織の”指揮下”に入る・・・ってな事態への理解がそう難しくはないからですが)”協力体制の確立”という問題。
 
 しかし、第三世界で多国間協力が必要な大規模災害が発生した場合はそう簡単に行かなくなる。
 
 自国の軍隊や消防、警察機関の”面子”とか言うのはいわゆる「後付の屁理屈」でして、大半の第三世界で政府機関(軍隊、各種治安機関等も含めて)が自国内で大規模災害が発生した場合の対応を「平時」から想定して一般国民も交えた各種訓練や備蓄品等の保管等から始まる様々な”対応策”を既に持っている第三世界の諸国等会務に等しいが故に
傍から見ていると、素人目からも(一般国民からでさえ)自国の軍隊や治安機関が”実際は如何に国民のこと等何ほどにも考えていなかった”に加えて”様々な害から国民を護る能力も知能も持っていないか”が露になってしまう。
 
 実際、スマトラ沖地震後の救助・救援活動でも最大の被害地だったバンダ・アチェ地域が普段から肝心のインドネシア政府自身が放棄していた地域だった為に、詳細な情報が存在せず、米軍のAir Force Special Operations Command720th Special Tactics Groupのヘリパイロットは地元当局から地形図さえも入手出来ず
(渡さないんじゃなくて元々持っていなかった・・・)完全な目視飛行で毎回のフライトで自ら航空図を作成した・・・なんて事態を経験した。
 
 んで、今回の四川大地震の場合はどうか?・・・を考えると、先ず発生地域が急峻で狭い山間部の上に海岸線から数千キロも奥に入った深内陸部だった為に、人民解放軍の空挺部隊(Paratroopers)を送り込んだにせよ(原子力関連施設の確保と警護が主目的だったかも知れませんが・・・)救助用装備や救援物資等を空中投下(Airborne forces)出来るだけの
オープンスペースを当該地域が持っていなかったことが考えられますね。
*Airboneってのは実際はかなり高度な技術と条件が揃わないと実行するのは相当に難しい作戦行動な訳でして、報道されている画像からだけでも、投下した物資の大半が回収不能に陥る可能性が考えられますし、近隣の空港を持った都市に移送するだけなら空中投下等する必要が端から生じない訳で・・・・
 それでは、ハミッシュ・エディさんの仰るようにヘリコプターを積極的に活用出来るか?・・・ですが、いわゆるHeliborne(Air Assault)を実施するにもしてもヘリコプター自体の”ペイロード”はそう大きくはないですし、確かに垂直離発着が可能ではあっても(厳密には真上や真下には動けないんですけどね・・・)ペイロードぎりぎりの積載状態で複雑もしくは狭い地域で
二次災害を起こさずに安全な作戦行動を行うには航空機(それもヘリコプター)の管制誘導を的確にこなせる人員を事前に該当地域に配置しなくてはならない。(当然、様々な気象条件や位置確認装備等も携帯する必要があって、米軍でさえもその為の空軍特殊作戦コマンドを抱えている程ですからね・・・、
更にペイロードの大きなヘリコプターを使用するとなると、より離発着地点への制約が多くなってしまって、運用効率が悪くなってしまう・・・・ヘリのパイロットや乗員にしてもこうした場合はCSAR(Combat search and rescue)の能力が無いと勤まらない訳で・・・)
 
 今回のように急峻な渓谷の谷底を走る村落や町を繋ぐ道路が地震で破壊され、自動車での走行が難しい状況になった場合は二次崩壊を避ける為だけの緊急工事を行って後は、中国お得意の人海戦術に頼るしか方法がなくなってしまう訳ですが、自国民だけや人民解放軍(この表現はホンドに何か皮肉に聞こえてしまいますが・・・)だけの場合は
「歩いて行って確かめろっ!」式の作戦行動でも問題はないかも知れませんが、多国協力等となってしまうとそう簡単に「人民解放軍の装備更新の必要性」が満更の嘘でもなかったことを露呈してしまっては何とも情けないですし、人民解放軍だけにしてもいわゆる「統合指揮所」に様々な情報が集約一元管理されて的確な命令が発令されない状況での救助活動は必然的に時間の無駄を回避出来ない。
 
 地上を監視する偵察衛星を中国が保有しているなら、そこから得られる情報を無闇に如何に人道的見地からと言っても他国の政府機関の人間に開示する訳にもいかず、かと言って外国の救助隊にした所で情報収集の為の”無人偵察機”を持ち込んでしまっては妙な誤解を与えてしまう以上に”内政干渉、主権侵害”等と言い出される恐れさえ出て来てしまう。
 
 そうした結果、日本の国際緊急援助隊(Japan Disaster Relief Team)にした所で(何処の国の救助隊であろうが)「現地の人間の手持ちの情報で指示してもらいましょうか!」ってな方法しか無くなってしまう(大変に頑張った!っと高く評価されるべきでしょうね、彼らは)
 
 更に困ったことに、北京語を話す奴は四川のことを詳しく知らず、四川語を話す奴は北京語を話す奴に気後れし、北京語を話す奴は自分の英語能力の低さが衆人観衆のど真ん中でバレルのを恐れ、外国から来た救助隊は中国のそんな山の中で”正確な英語”が通じる訳もないのに英語しか話すことが出来ない状態で、どうやって情報の共有化が可能になるのか
・・・想像しただけで・・・背筋が何気に寒い。。。。
 
 日本は、緊急救助隊と入れ替わりに”医療チーム”を派遣しましたが、チャーター機で出発したと言うことはそれなりの機材や医薬品を持ち込んだ支援を行う予定だと思いますが、やはり最大のネックは海岸線から数千キロも奥地だ!っということでしょうか。。。。
 
 ミャンマーのサイクロン被害に遭ったデルタ地帯なら米軍のHSV-2 Swiftや海上自衛隊も保有する輸送用エアクッション艇LCAC等に野外手術システム(陸上自衛隊)を搭載してHSV-2 Swiftを病院船に利用する手法を採用出来なくはありませんが・・・・
lcac
 これはもぉ~ほとんどミャンマー軍事政権側からすると、欧米(日本を含んだ)諸国が大艦隊を率いて自分達を消毒に来た!(・・・)っとしか写らない光景に見えてしまう。。。。
 
 先進国側の救助部隊はその構成が軍事組織であるにせよ・・・人道的見地からの救助救援活動を当該国の指揮下に入って行うことは全く問題としないのは分かりますが、肝心の当事国側で指揮に当たる人間はその国では平時も戦時もエリートと自他共に評される人間が当たることになる。
 
 しかし、その実態は先進国の軍事組織のようにトランスフォーメション等と言う概念や先端技術や装備を自主開発したり使いこなす能力を持った要員とは程遠いのが現実であり、軍事政権とその軍人達や人民解放軍とは実は自国民を解放したり保護したりする為の軍事組織ではないことが露呈してしまう事態を今回の2つの大災害は突きつけている。
 
 米国の何とか言うメディアが単純に「ミャンマーを国連から追放しろ!」とか書いていたようですが・・・そんなことをしようもんあら、メンマー軍事政権には願ったり叶ったりの状況しか生み出さず、それ以上に如何にミャンマー以外の軍事独裁政権であったにせよ、いわゆる”自国民”を見殺しにした政治指導者と称する欲ボケヤクザの軍人達を亡命させる訳もなく
(そんなことをしたら、自国民から疑われてしまう・・・)結局彼らは、ポルポトの真似をするしか意趣返しの道は残されていないことになってしまう。
 
 人道支援の何と難しいことか・・・・
 
 

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